ベントレー、新世代ペイント工場が始動。世界初のAGV導入で描く「夢の工場」の未来

【ポイント】
・世界初のAGV採用による塗装工程の革新
・最大98%のVOC削減を実現する環境性能の飛躍
・新塗装「スペクトラル・ヴァーダント」が切り拓く無限の表現力
ベントレーは2026年6月11日、英国クルー本社に建設した最新鋭のペイント工場の稼働を開始したと発表しました。新施設は「ドリーム・ファクトリー」構想の重要な一歩となるもので、同時に新たな塗装仕上げ「スペクトラフレア(Spectraflair)」の導入も発表されています。
新ペイント工場は、総面積1万2500平方メートルを誇り、クルー工場内で最も高い建物として建設されました。ベントレーの高付加価値かつデジタル化された製造能力をさらに高める施設として位置付けられており、将来的なビスポーク塗装技術の導入にも対応できる専用スペースを備えています。

この施設で塗装されるのは、コンチネンタルGT/GTC、フライングスパーに加え、2026年後半に登場予定のベントレー初のバッテリーEVです。さらに、ベンテイガも今後数年以内に生産ラインへ統合される予定となっています。
最大の特徴は、世界の自動車塗装工場として初めて、自律搬送車「AGV(Automated Guided Vehicle)」を採用したことです。計10台のAGVが車体を各工程へ自動搬送し、高度なカスタマイズにも柔軟に対応します。これにより、顧客の多様な塗装ニーズに応じた生産体制を構築できるようになりました。
工場内部は2層構造となっており、手作業による塗装工程と自動化工程を最適化しています。1階では熟練職人による塗装作業が行われる一方、2階の高性能塗装システムで発生する熱エネルギーを回収し、施設全体へ再利用する仕組みを採用しました。その結果、新工場では年間の約3分の2の期間において暖房を必要としない高いエネルギー効率を実現しています。
環境性能も大幅に向上しました。従来の溶剤系プライマーに代えて水性プライマーを導入し、塗装精度の向上やマスキング材の削減、フィルター監視システムの採用により、廃棄物を旧工場比で最大45%削減します。また、残留熱酸化装置(RTO)によって1000℃で排気ガスを処理し、VOC(揮発性有機化合物)排出量を最大98%低減することが可能となりました。

新工場の完成を記念し、世界に1台だけの「コンチネンタルGT S」も製作されました。この特別仕様車には、新開発の「スペクトラル・ヴァーダント」塗装が採用されています。これは既存の「ヴァーダント」をベースに、自然光の下で多彩な色彩がきらめく独自の仕上げです。
さらに、ゴーストホワイト・パールセントによるユニオンフラッグのレーシングストライプを数日かけて職人が手作業で塗装。ベントレーのクラフトマンシップと革新性を象徴するモデルとなっています。
この新色は「バイ・マリナー(By Mulliner)」の拡張ペイントプログラムを通じて提供され、顧客は約100色に迫る豊富なボディカラーの選択肢から、自らの理想の一台を仕立てることができます。
また、工場外壁には45枚のディスプレイパネルが設置され、それぞれ実車と同じ塗装技術によって仕上げられています。機能性だけでなく、ベントレーらしい美意識も体現した施設として、新たな時代の幕開けを告げています。
【ひとこと解説】
スペクトラフレア(SpectraFlair)は、マグネシウムフッ化物とアルミニウムの多層フレーク構造を持つ光干渉顔料で、見る角度や光の当たり方によって色が劇的に変化するのが特徴です。白色光がフレーク内部で干渉し、虹のような多彩な色を生み出します。自動車塗装では金属的な輝きからレインボー状のスペクトルまで幅広い表現が可能で、ラグジュアリーカーの特別色にも採用されています。PVD(物理蒸着)で原子レベルの膜厚管理が行われ、均一な発色と高い耐久性を実現しています。
















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