オペル・グランドランド、生産工程から変わるサステナブルSUVへ。欧州初の新塗装技術でCO₂排出量を年間580トン削減

【ポイント】
・欧州初採用のモノコート塗装革命
・年間580トンのCO₂削減を実現する生産革新
・550kg超の再生・再生可能素材が支える持続可能性
オペルのフラッグシップSUV「グランドランド」が、デザインや快適性だけでなく、生産工程における環境性能でも新たな基準を打ち立てています。ドイツ・アイゼナハ工場では、欧州のステランティス生産拠点として初めて「モノコート(Monocoat)」塗装プロセスを量産導入し、資源消費やCO₂排出量の大幅な削減を実現しています。

グランドランドは、電気自動車の「グランドランド エレクトリック ロングレンジ」や四輪駆動仕様の「グランドランド エレクトリック AWD」など、多彩な電動パワートレインを展開するC-SUVです。さらにデザイン面では、顧客の約60%がブラックルーフを組み合わせたツートーン塗装を選択しており、この人気仕様に新たな塗装技術が導入されました。
モノコート塗装は、これまで別工程だったベースコートとクリアコートの塗布を1工程に統合する技術です。従来は水性ベースコートを塗布した後、赤外線と温風による乾燥工程を経てクリアコートを重ねていましたが、新技術ではこれらを同時に実施できます。
その結果、塗装工場内のベースコートブースが不要となり、水使用量は月間約8万リットル削減されました。さらに中間乾燥工程も不要となったことで、熱エネルギー消費は生産1時間あたり150kW、電力消費は500kW超削減されています。これにより、アイゼナハ工場全体では年間約580トンのCO₂排出量削減が可能になりました。

環境面でのメリットはそれだけではありません。新しい塗装プロセスでは溶剤濃度が低減され、塗料スラッジなどの廃棄物発生量も抑制されています。
この技術導入は約2年前にスタートしました。当初は米国発の技術でしたが、EUの規制要件に適合させるための改良を実施。その後、複数のサプライヤーを評価しながら、「Made in Germany」にふさわしい品質と精度を維持できる体制を構築しました。現在はすでに稼働しており、日々の生産効率向上とカーボンフットプリント削減に貢献しています。
グランドランドのサステナビリティへの取り組みは、生産工程だけに留まりません。車両開発段階から資源節約を重視しており、ドライバーと助手席向けに採用される「インテリシート」には、尾てい骨への負担を軽減する中央部のくぼみを設けています。さらにシート表皮やドアパネル、ダッシュボード、センターコンソールには、再生PETボトル由来の素材が使用されています。

目に見えない部分でも循環型社会への配慮が徹底されています。再生材を含むアルミニウムやスチールに加え、最大80%のグリーン素材を用いた40種類以上のポリマー部品を採用。車両全体では550kg以上が再生素材および再生可能原材料によって構成されています。
環境負荷低減と高品質なデザインを両立するオペル・グランドランドは、走行性能だけでなく、生産から車両構成に至るまで持続可能性を追求した次世代SUVとして存在感を高めています。
【ひとこと解説】
塗料スラッジは、自動車工場などの塗装工程で発生する塗料ミストや余剰塗料が水洗ブース内で凝集・沈殿してできる固形物(汚泥)のことです。塗装ブースでは空気中に飛散した塗料を水で捕集しますが、この際に凝集剤や分離剤と反応して塗料成分が固まり、スラッジとして蓄積します。放置すると水質悪化や設備詰まりを引き起こすため、脱水・乾燥・焼却などで適切に処理する必要があります。近年はスラッジ発生量を減らすため、高転写塗装・静電塗装・低ミスト塗料の導入が進み、環境負荷と処理コストの低減が図られています。
















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