ポルシェ「Eシフト」解説、タイカンに仮想8速PDKを導入 EVの走りに“変速する歓び”

【ポイント】
・瞬時の加速に「変速」という感情を取り戻す、仮想8速PDKの新体験
・ソフトウェアと実機2速トランスミッションが融合する、デジタルとメカニカルの共演
・音、回転計、シフトショックまで五感を刺激する、EVスポーツカーの新たなインタラクション

ポルシェは、電動スポーツカー「タイカン」のドライビング体験をさらに高める新オプション「Eシフト」の詳細を発表しました。ソフトウェアによって8速のポルシェ・ドッペルクップルング(PDK)をシミュレートし、仮想シフトチェンジ、シフト時のショック、音響、視覚的な演出を組み合わせることで、EVならではの連続的な加速に新たな感覚を加えます。

Eシフトでは、GTスポーツステアリングホイールのスイッチから機能を起動し、オートマチックとマニュアルの切り替えが可能です。マニュアルモードではステアリング裏側のパドルを使い、8段の仮想ギアを操作します。変速時には駆動トルクを一瞬だけ低下させてシフト感を再現。センターに表示される回転計は最高7500rpmまで上昇し、専用に開発されたサウンドとともに変速を演出します。

システムそのものは完全なソフトウェアベースです。開発陣は7回分の追加シフト動作を制御コードに組み込み、ブレーキング時のダウンシフトや複数のシフト戦略、従来型トランスミッション特有の挙動まで再現しました。一方で、実際の内燃エンジン車より素早い変速も可能としています。

タイカンのリアアクスルには、もともと実機の2速トランスミッションが搭載されています。Eシフトでは、仮想2速から仮想3速への移行を実際の機械式変速と意図的に一致させ、デジタル制御と物理的な駆動系を融合させている点が特徴です。

音響面では既存の「ポルシェ・エレクトリック・スポーツ・サウンド」を発展させ、仮想エンジン回転数、負荷、車速に応じて音を変化させます。車両始動時にも新たな音響演出を採用。既存の車内外スピーカーを使用し、リア側を強調したサウンドを生み出します。

Eシフトをオフにすると、パドルは2段階の回生調整に使用でき、左右のパドルを同時に引けば「プッシュ・トゥ・パス」を起動して一時的な性能向上も可能です。

なお、Eシフトはタイカンを速くするための機能ではありません。変速時にトルクを一時的に落としても総合的な加速性能は変わらず、音、視覚、触覚によるフィードバックを追加することで、電動パワートレインの性能に「ドライバーが操る感覚」を加えることを狙っています。

【ひとこと解説】
ポルシェ・タイカンのプッシュ・トゥ・パス(Push-to-Pass)
は、スポーツクロノパッケージに含まれる新機能で、ステアリングの専用ボタンを押すだけで最大70kWの追加出力を10秒間得られる短時間ブースト機能です。加速時に一時的にモーター出力を上乗せすることで、追い越しや高速道路の合流など、瞬間的な加速が必要な場面でレスポンスを大幅に向上させます。ブースト量はグレードにより異なり、ベースモデルでは従来比60kW増、ターボSではローンチコントロール併用で最大140kWの追加出力が可能で、EVならではの即応性をさらに引き出す、タイカンのドライビングダイナミクスを象徴する機能と言えます。

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