メルセデス・ベンツ、140年の革新を彩る歴史的モデルと人物を振り返る

【ポイント】
・「Universal」からTモデルへとつながった、実用と上質を融合する新たな系譜の始まり
・最高速度175km/h超の300 Sと444PSのS 63 AMGが刻んだ、時代を超える最高峰への挑戦
・自動車から航空機、モータースポーツまで広がった、140年間絶えることのない革新の精神

メルセデス・ベンツは2026年、「140 Years of Innovation(140年の革新)」を掲げています。1886年にカール・ベンツが最初の自動車の特許を申請して以来、同社は技術と商品を通じてモビリティの進化を続けてきました。今回の「Mercedes-Benz Classic Notizen 2/2026」では、その歴史を象徴する節目が紹介されています。

1966年8月、メルセデス・ベンツは230 S「Universal」をモデルラインアップに追加しました。W111型上級セダンをベースに、ベルギー・リエージュのIMAが製造したステーションワゴンです。大きな荷室を備え、レジャーから商用まで対応しました。セダンの13インチに対して15インチホイールを採用し、最低地上高も拡大。1977年にW123型で登場するTモデルの先駆けとなりました。230 S Universalは1968年まで生産され、W110型では200 D、200、230にもUniversalが設定されました。

1951年10月のパリ・モーターショーでは、300 S(W188)がデビューしました。クーペ、カブリオレA、ロードスターを設定し、3リッター直列6気筒M188に3基のソレックス・ダウンドラフトキャブレターを組み合わせ、最高出力110kW(150PS)を発生。最高速度は175km/hを超え、当時のドイツ車で最速クラスでした。米国市場進出においても重要な役割を果たし、1954年には300 SL「ガルウイング」へその存在感が引き継がれました。

2001年9月のフランクフルトIAAでは、S 63 AMGロングとCL 63 AMGが登場しました。AMGが改良した6.3リッターV12「M137」は326kW(444PS)を発生。このほか、2.7リッター直列5気筒ディーゼル、115kW(156PS)のG 270 CDIや、最大積載量550kgのヴァネオも披露されました。

さらに1926年12月15日には、ハンス・クレムがダイムラー・ベンツAGの航空機製造を引き継ぎ、Leichtflugzeugbau Klemm GmbHを設立。1925年以降のL20には、フェルディナント・ポルシェ設計の空冷2気筒ボクサーエンジン「F 7502」が搭載されました。

2026年は、1906年7月15日生まれのルドルフ・ウーレンハウト生誕120周年でもあります。1936年にレーシング部門の技術責任者となり、後に乗用車開発を率いた人物で、その名は300 SLR「ウーレンハウト・クーペ」に刻まれています。自動車、航空、レース、量産車へと領域を広げながら革新を続けてきた140年の歩みが、これらの節目から浮かび上がります。

【ひとこと解説】
ルドルフ・ウーレンハウト
は、メルセデス・ベンツのレーシング史を語るうえで欠かせない名エンジニアです。1906年に生まれ、1930年代にメルセデスへ入社すると、W125やW154といった“シルバーアロー”の開発を主導し、当時のグランプリレースで圧倒的な強さを示しました。戦後は300SL“ガルウイング”の技術基盤を築き、ロードカーとレーシングカー双方の発展に寄与します。彼の名を象徴する存在が1955年の「ウーレンハウト・クーペ」で、300SLRを自らの試験用に仕立てた究極のプロトタイプです。卓越した操縦技量を持つテストドライバーでもあり、技術者とドライバーの両面でメルセデスの性能哲学を体現した人物として高く評価されています。

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