メルセデス・ベンツ、ユーロサトリー2026で防衛・救難ソリューションを披露。Gクラスとバンが切り拓く新たな最前線

【ポイント】
・45年以上の実績を誇るGクラスの進化
・ドローン時代を見据えた対無人機システムの胎動
・民生技術を防衛分野へ転用する革新力

メルセデス・ベンツは、2026年6月にフランス・パリで開催される防衛・安全保障分野の国際展示会「ユーロサトリー2026」において、救難・特殊任務向けのGクラスや、スプリンターおよびヴィトをベースとした防衛用途車両を出展すると発表しました。

今回の展示テーマは「Protecting what matters(守るべきものを守る)」です。メルセデス・ベンツは、人道支援機関や行政機関、軍隊などが必要とする高い走破性と耐久性、整備性を兼ね備えた車両を通じて、民間防衛や国家安全保障への貢献を示します。

なかでも注目されるのが、45年以上にわたり公共サービスの現場を支えてきたGクラスです。これまで世界で7万4000台以上がパトロールや災害対応、平和維持活動などに投入され、一部の車両は30年以上にわたり運用されてきました。救急車や消防車、警察車両、国境警備車両など、60種類以上の装備パッケージが用意されている点も特徴です。

Gクラスの高い悪路走破性能も健在です。ラダーフレーム構造に加え、100%ロック可能な3つのデファレンシャルロックを採用。最低地上高は最大241mm、登坂能力は100%、最大28度の横傾斜に対応し、渡河性能は660mmを誇ります。また、コモンレール式ターボディーゼルエンジンは、低品質燃料やケロシンにも対応しながら600km以上の航続距離を実現します。

展示車両のひとつ「G 350 d ステーションワゴン 4.5」は、車両総重量4.5トン、1トン超の積載能力を備えています。ヘリコプターによる空輸に対応する固定ポイントや、パンク後も最大100km走行可能なランフラットインサートを装備可能です。さらに、赤外線ライトやブラックアウトライト、電磁パルス対策パッケージ、12V/24V電装システムなどを選択でき、多様な任務に対応します。

また、ドイツ連邦軍向けの新型指揮通信車両「ウルフ2」も初公開されます。新しいD-LBOデジタル通信・指揮システムを標準装備する初の車両であり、車両総重量4.5トン、1トン超の積載能力を確保。歩行可能なボンネットや赤外線照明も採用し、空輸にも対応します。

さらに、メルセデス・ベンツ・バン部門もユーロサトリーへ初出展します。スプリンター4×4は、世界中で販売される車両の75%が架装されている実績を持ち、最大5.5トンの車両総重量に対応します。2.0リッターディーゼルエンジンは140kWを発生し、電子制御ディファレンシャルブレーキ付き四輪駆動システムを搭載。無線機器やレーダー、IT機器への電力供給を可能とするパワーテイクオフ機構も備えます。

一方、ヴィトは軍警察仕様として展示されます。可変式エアサスペンションや迷彩塗装、オールテレーンタイヤを採用し、警告灯や無線機器、銃器ホルダーを装備することで、多用途な運用を可能にしています。

今回の展示で初披露されるのが、ドイツのスタートアップ企業タイタン・テクノロジーズと共同開発した対ドローンシステムです。架装メーカーBINZが製作したスプリンターには、2つのオペレーター席や監視カメラ、迎撃ドローン発射装置を搭載。Gクラス側には伸縮式レーダーマストと追加のドローン発射モジュールを装備します。民生車両をベースとしながら、高度な防衛任務への対応を実現している点は大きな特徴といえるでしょう。

今回の展示は、防衛・救難分野におけるメルセデス・ベンツの技術力と、標準車両を基盤とした柔軟なソリューション提案を示すものとなっています。

【ひとこと解説】
D‑LBO
は、ドイツ国防省が推進する陸上作戦のデジタル化計画で、総額約115億ユーロ規模の国家プロジェクトです。目的は、陸軍の通信を旧来のアナログ無線から脱却させ、端末から指揮所まで“端から端まで暗号化されたデジタル指揮・通信システム”を構築することにあります。これにより、部隊間の情報共有、状況認識、指揮命令の即時性が大幅に向上します。すでに700以上のプラットフォームが近代化され、今後は1万台規模の車両へ展開予定。2027年にはデジタル化された旅団がNATO任務に投入される計画で、NATOとの相互運用性向上も重要な狙いです。

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