ロールス・ロイス、500年の装飾芸術に着想を得た新ビスポーク技法を発表 初の3Dメタル彫刻など4技術を披露

・500年の装飾芸術を現代に蘇らせる革新的クラフト技法
・ロールス・ロイス初となる3Dメタル手彫刻の実現
・職人技と先端技術が融合した新たな芸術表現
ロールス・ロイスは、ビスポーク部門の職人やデザイナー、エンジニアによって開発された4つの新しいクラフト技法を発表しました。今回公開されたのは「3Dレザーハンドスカルプティング(立体レザー彫刻)」「3Dメタルハンドスカルプティング(立体金属彫刻)」「3Dベニア」「ビーズワーク」の4技術です。
これらの技法は、17世紀の美術や歴史的な装飾工芸から着想を得て開発されたもので、顧客がビスポークモデルを通じてより自由に個性を表現できるようにすることを目的としています。技術の可能性を示すため、ロールス・ロイスの象徴的な「ファントム ギャラリー」と同スケールで制作された2つのコンセプト作品に採用されました。

ひとつ目の作品「レガシークラフト:インスパイアード・バイ・スティルライフ」は、17世紀オランダ黄金時代の静物画をテーマに制作されました。ギャラリー全体に果物や花を立体的に配置し、素材や質感、光の表現を追求しています。
この作品ではロールス・ロイス初となる3Dレザー彫刻とビーズワークを採用。アジサイは50個の花から構成され、それぞれがレザーから手作業で成形され、さらに職人による手描きで彩色されています。花びらは中心に向かって濃くなるピンクのグラデーションで仕上げられました。また葉の部分には、新たに開発された「スフィンクスモス3D刺繍」が用いられ、糸だけで立体感を表現しています。
ザクロの実はオルタネートステッチ技法による刺繍で表現され、76個のビーズを一粒ずつ縫い付けることでルビーのような透明感を再現。完成までに250時間以上の手作業が費やされました。カラーにはピオニー、ココア、シャルトリューズといった深みのある色彩が採用されています。
もうひとつの作品「レガシークラフト:インスパイアード・バイ・ザ・ドラフト」では、3Dメタルハンドスカルプティングと3Dベニア技法を初披露しました。建築図面やエリザベス朝・ジャコビアン様式の装飾、ステンドグラスを支える金属格子など、歴史的な意匠をモチーフとしています。

複数層のレーザーカット木材によって立体的なレリーフを形成し、その上に真鍮製インサートを配置。左側にはスモークドユーカリ材にレーザーエッチングを施し、設計図から立体造形へと進化する過程を表現しています。
さらに中央には宝飾品を思わせる立体的な花を配置。この花は5層の真鍮パーツで構成され、ウォータージェット加工で花びら形状に切り出されています。この部品だけでも45時間以上を要しており、各花びらには幅わずか0.2mmの線が50本以上手彫りされています。さらに社内開発された専用工具を用いて立体的な造形が施されました。

今回の作品群に共通するテーマは「職人技と機械技術の融合」です。レーザーカットやウォータージェット加工、デジタル設計によって高精度な形状を実現し、その後に手彫り、手描き、刺繍、彫刻といった伝統技法を加えることで唯一無二の表現を生み出しています。

これらの新技法は、英国グッドウッドにあるロールス・ロイス本社のビスポーク部門によって開発されたもので、ロールス・ロイスが培ってきたクラフトマンシップの新たな可能性を示す取り組みとして注目を集めています。
【ひとこと解説】
ジャコビアン様式は、16〜17世紀イングランドで展開した建築・装飾様式で、ルネサンスの秩序に英国的な重厚さと装飾性を融合させた点が特徴です。直線的で力強いプロポーションを基調にしつつ、柱頭やアーチ、ストラップワークと呼ばれる帯状装飾、幾何学的パターンを多用し、荘厳でドラマティックな外観を生み出しました。家具ではツイストレッグや彫刻的装飾が発達し、王権の威信と新興貴族の富を象徴するスタイルとして確立しました。
















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