メルセデスベンツ、AI自動化を全社展開 欧州発「n8n」で業務改革を加速

・1500人超が挑んだ全社AIハッカソンの熱狂
・AIを現場業務へ浸透させる低コード革命
・欧州AI基盤で築くデジタル主権の未来
メルセデスベンツは2026年5月12日、ドイツの低コード自動化企業 n8nとの戦略的パートナーシップを発表し、AIを活用した業務自動化をグローバル規模で本格展開すると明らかにしました。今回導入される「n8n」は、従業員自身がAI主導のワークフローを設計・展開できる低コードプラットフォームで、研究開発、生産、販売、金融サービス、人事、ITなど、メルセデス・ベンツの全事業領域へ導入されます。
同社はこれまでにもAI活用を進めてきましたが、今回の取り組みでは「個別の実証実験」から「日常業務への本格実装」へとフェーズを移行することが大きな特徴です。ソフトウェアとAIが産業競争力を左右する時代において、メルセデス・ベンツは柔軟性と拡張性を重視したモジュール型テクノロジースタックを構築。その中核を担う存在としてn8nを位置づけています。
n8nは既存システム同士を接続し、AIを活用した業務フローを統合できる点が特徴です。複雑なシステム間連携を容易にし、業務効率化や迅速な問題解決、データ主導型意思決定を支援します。さらに、近年注目を集めるAIエージェント型アーキテクチャにも対応し、従来型の自動化だけでなく、次世代AI運用基盤としても活用されます。
今回の導入では、従業員のAI活用レベルを3段階に整理している点も注目です。日常業務でAIを使う「テイカーズ」、n8nを利用して業務フローを設計する「メーカーズ」、さらに高度なソフトウェアやAIソリューションを構築する「ビルダーズ」という分類を採用。単なる利用者ではなく、AIを活用して業務そのものを設計・改善できる人材育成を推進します。
この取り組みを象徴するのが、全社規模で開催されたAIハッカソンです。研究開発、生産、販売、人事、ITなどあらゆる部門から1500人以上の従業員が参加し、AIや自動化に関するユースケースを開発しました。選ばれた優秀なアイデアは、今回のグローバルn8n展開の中で実装段階へ進められます。現場から生まれたアイデアを実際の業務へ反映することで、ボトムアップ型のイノベーションを推進する狙いです。
また、メルセデス・ベンツは今回の提携を通じて「デジタル主権」の強化も重視しています。n8nはセルフホスト型かつクラウド非依存型の構成に対応しており、企業側が重要データや業務プロセスを自ら管理可能です。欧州企業のプラットフォームを採用することで、データ管理やAI運用における制御性を高めると同時に、欧州AIエコシステムの発展にも貢献します。
メルセデス・ベンツのCIOである カトリン・レーフマン氏は、「AIの拡大には技術だけでなく、基幹事業へ組み込むことが重要」とコメント。一方、n8n創業者兼CEOの ヤン・オバーハウザー氏は、「AIを試験導入から本格運用へ移行する課題への答えになる」と述べています。メルセデス・ベンツはAIを単なる支援ツールではなく、企業運営そのものを変革する中核技術として本格活用する段階へ踏み込みました。
【ひとこと解説】
低コード(Low Code Platform)とは、専門的なプログラミング知識がなくても、ドラッグ&ドロップ操作やテンプレートを使ってアプリケーションを開発できるプラットフォームのことです。従来のようにコードを一から書く必要がないため、業務担当者でも業務アプリやワークフローを短期間で構築できます。企業では、申請フローの自動化、データ管理ツールの作成、簡易的な顧客管理システムなどに活用され、開発スピードの向上とIT部門の負荷軽減に寄与します。また、クラウドと連携しやすく、拡張性や保守性にも優れています。デジタル化が進む中で、現場主導で素早く改善を進められる手段として注目されている開発手法です。
















コメント