わずか35台の希少車、1952年製メルセデス・ベンツ170 V「カスタマーサービス」を博物館で特別展示

【ポイント】
・1950年代のサービス車を象徴する鮮烈な「メルセデス・ブルー」
・1952年にわずか35台のみ生産されたガソリン仕様の希少なパネルバン
・工具と部品、乗員の快適性を両立した「ジンデルフィンゲン・ボディ」の機能美
メルセデス・ベンツ博物館は、特別展「130 Years of Commercial Vehicles(商用車130年)」の展示車両として、1952年製メルセデス・ベンツ170 V「カスタマーサービス」(W 136)を公開しています。同展では1896年以降のバンやトラックの歴史を物語る7台を展示し、2027年4月4日まで開催されます。

ひときわ目を引くのが、車体を包む「メルセデス・ブルー」です。1950年代、メルセデス・ベンツのカスタマーサービス車両はこの青色に塗装されており、一目でサービス車と分かる存在でした。この個体は1952年にスイスで使用を開始したものです。
ボディは「ジンデルフィンゲン・ボディ」と呼ばれるパネルバン仕様です。左開きのリアドアを備え、内部には木製フレームを採用。左右それぞれ5本の木製スラットがキャビン後方まで延び、板金製の外装を支えています。カーペット敷きの荷室床下にも収納スペースが設けられ、スペアタイヤもここに収められました。工具や交換部品を積んで移動するサービス車ならではの設計です。

キャビンにはライトグレーの合成皮革を使ったベンチシートを装備。トランスミッショントンネルにも合成皮革を張り、足元には形状に合わせて切り出した耐久性の高いマットを採用しています。ダッシュボード中央にはオドメーター付き速度計、その左に燃料計と油圧計、右に時計を配置。操作スイッチにはアイボリー色の樹脂が使われました。

170 Vは1936年に登場し、第二次世界大戦後のメルセデス・ベンツが量産を再開するうえで重要な役割を担いました。1946年5月には170 Vをベースとしたピックアップ、パネルバン、救急車の生産を開始し、1947年からはセダンも再び生産されています。

1952年には170 Vとディーゼルの170 Dがジンデルフィンゲン製パネルバンとして生産されました。170 Dが500台以上作られたのに対し、ガソリンエンジン搭載の170 Vはわずか35台でした。最高出力33kW(45hp)/3,600rpm、最高速度116km/hを発揮するこの170 Vは、1950年代のサービス体制を伝えるだけでなく、極めて希少な一台でもあります。
【ひとこと解説】
ジンデルフィンゲン(Sindelfingen)は、ドイツ・バーデン=ヴュルテンベルク州に位置するメルセデス・ベンツ最大級の拠点で、1915年に創設された同社の伝統的な主力工場です。Eクラス、Sクラス、EQS、GLCなどコア〜トップエンドの主要モデルを生産し、研究開発部門も併設する総合拠点として機能しています。2020年には次世代型組立施設「Factory 56」が稼働し、電気自動車と内燃機モデルを同一ラインで柔軟に生産する高度な製造体制を確立しました。従業員は約31,500名にのぼり、メルセデスの技術革新と高品質生産を支える中核工場として世界的に重要な役割を担っています。
















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