次世代GLB、サプライチェーンでCO₂を21%削減。メルセデス・ベンツが描く“脱炭素コンパクトSUV”の新基準

・バッテリー製造で最大2.8トンのCO₂削減達成
・再生素材と再生可能エネルギーが生む循環型SUV革命
・2039年完全再生可能エネルギー化へ向かう生産体制構築
メルセデスベンツは2026年5月13日、新型電動SUV「GLB」に関する360°環境評価を公開しました。新開発の「メルセデス・ベンツ・モジュラー・アーキテクチャー(MMA)」を採用する新型GLBは、車両そのものだけでなく、原材料調達から生産工程まで含めたサプライチェーン全体でCO₂排出削減を徹底したモデルです。独立監査機関による検証を受けた結果、特定の削減施策を導入することで、生産段階におけるCO₂排出量を約21%削減できることが明らかになりました。
今回の環境性能向上において最大の鍵となったのが、高電圧バッテリーの製造工程です。バッテリーセル生産時に再生可能エネルギー由来の電力を使用することで、セル単体のカーボンフットプリントを約40%低減。車両1台あたりでは最大約2.8トンものCO₂削減効果を実現しています。電動車の環境性能は走行時だけでなく、バッテリー製造時の排出量も大きな課題とされてきましたが、新型GLBはその根本部分にも踏み込んだ対策を行っています。
アルミニウム素材の調達にも大規模な改革が導入されています。車両に使用されるアルミニウムのうち50%超にあたる163kgが、再生可能エネルギーで稼働する製錬所由来の低CO₂アルミニウムとなっています。これにより関連部品のカーボンフットプリントを約30%削減し、総量では約0.6トンのCO₂削減効果を達成しました。アルミニウムは軽量化に不可欠な素材である一方、製造時のエネルギー消費が大きいことで知られており、その脱炭素化はEV開発における重要テーマとなっています。
さらに、車両材料の約46%を占める鋼材・鉄系素材についても環境負荷低減を推進しています。新型GLBでは、再生可能エネルギーを使用する電炉製法によって生産された低CO₂スチールを約20kg採用。将来的にはグリーン水素を活用した直接還元製鉄技術と電炉技術を組み合わせることで、実質的にCO₂フリーな鉄鋼生産を目指すとしています。
循環型素材の採用拡大も新型GLBの大きな特徴です。合計45kgの熱可塑性リサイクル素材を採用し、フロントトランク収納部には50%の再生材を使用。ジャッキポイントには100%再生素材を導入したほか、ロングメンバークラッディングやバンパー下部構造にも最大30%の再生材を採用しています。これらの施策だけでも約71kgのCO₂削減につながっており、同時にサーキュラーエコノミー推進にも貢献しています。
生産を担うハンガリー・ケチケメート工場では、2022年からネットカーボンニュートラル生産を実施しています。現在は太陽光発電設備の増設を進めており、2030年までに生産エネルギーの70%以上を再生可能エネルギー化する計画です。さらに2039年までには、世界中のメルセデス・ベンツ生産拠点を完全再生可能エネルギーによるCO₂排出ゼロ運営へ移行する方針を掲げています。加えて、水使用量や廃棄物削減にも継続的に取り組んでいます。
【ひとこと解説】
電炉製法(電気炉製鋼法)とは、スクラップ鉄を主原料として電気の力で溶かし、鋼をつくる製鋼プロセスのことです。アーク炉(EAF:Electric Arc Furnace)に電極を差し込み、強力な電気アーク熱で鉄を溶解します。高炉のように鉄鉱石をコークスで還元する工程が不要なため、CO₂排出量が大幅に少ないのが最大の特徴です。原料の自由度が高く、合金調整もしやすいため、建材用鋼材から高品質鋼まで幅広く生産できます。また、操業の立ち上げ・停止が容易で、生産量の調整がしやすい点もメリットです。近年は脱炭素の流れを受け、再エネ電力と組み合わせた“グリーンスチール”の中核技術として注目されています。
















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