フェラーリ、新時代の扉を開くEV「ルーチェ」発表。1050cvと530km超航続を実現

・マラネロ初の完全電動フェラーリ誕生
・4モーターと四輪制御が生む新次元の走り
・ジョニー・アイブ率いるLoveFromとの革新的共創

イタリア・ローマで2026年5月25日、フェラーリブランド初となる完全電動モデル「Ferrari Luce(フェラーリ・ルーチェ)」を世界初公開しました。ローマの「ヴェラ・ディ・カラトラヴァ」を舞台に披露されたこの新型車は、単なるEVではなく、フェラーリが掲げる“新しいフェラーリ像”を具現化したモデルです。

フェラーリ・ルーチェは、2022年のキャピタル・マーケット・デーで示されたマルチエネルギー戦略の集大成として誕生しました。内燃機関やハイブリッドを否定するのではなく、電動化を新たな可能性として取り込む姿勢を鮮明にしています。車名の「Luce(ルーチェ)」はイタリア語で“光”を意味し、ブランドの未来を照らす存在であることを示しています。

デザイン開発では、元Appleのデザイン責任者として知られるジョナサン・アイブ率いるクリエイティブ集団「LoveFrom」が参画。フェラーリ・デザインセンター外部との協業は異例であり、外装からインテリア、インターフェースに至るまで、統一された新デザイン言語が与えられました。シェル状の巨大なグラスハウスや、浮遊感を持つフロント/リアウイングが特徴です。

パッケージングも従来のフェラーリとは大きく異なります。専用EVアーキテクチャーにより、ブランド初の5人乗りレイアウトを実現。4ドアと5シートを備えながら、フェラーリらしい低重心とスポーツカー性能を両立しました。前席から後席まで広がる開放的な空間と、削ぎ落とされたミニマルな造形が融合しています。

パワートレインには、F80由来の永久磁石同期モーターを4基搭載。前輪側は各105kW、後輪側は各310kWを発生し、システム総出力は1050cvに達します。0-100km/h加速は2.5秒、0-200km/h加速は6.8秒、最高速度は310km/h超という圧倒的なパフォーマンスを実現しました。122kWhバッテリーを搭載し、一充電航続距離は530km以上。800Vアーキテクチャーに対応し、最大350kWの急速充電も可能です。

さらに、各輪独立モーターによる四輪トルク制御、後輪操舵、電子制御アクティブサスペンションを統合制御することで、フェラーリ史上かつてない俊敏性と安定性を獲得しています。新開発の「Vehicle Control Unit(VCU)」は毎秒200回の演算を行い、車両全体を統合制御。新世代「Side Slip Control X」と連携しながら、ドライバーの操作に極めて自然な応答を返します。

サウンド面も徹底的に作り込まれました。ルーチェでは人工音を生成するのではなく、モーターやギアから生まれる実際の振動をセンサーで拾い、増幅・調整して車内外へ再生します。フェラーリはこれを“本物のサウンド”と定義し、電動車でありながら感情に訴えかける音響体験を追求しました。

インテリアでは、物理スイッチとデジタル表示を融合した新世代HMIを採用。サムソン ディスプレイ製OLEDディスプレイや、Corning Gorilla Glass製キーを採用するなど、素材と操作感にも徹底的にこだわっています。さらに21スピーカー、3000W出力の専用オーディオシステム「Ferrari Audio Signature」も初搭載されました。

また、フェラーリ史上最も空力性能に優れたロードカーでもあり、アクティブグリルや可変車高機構、タービン形状ホイールなどにより、歴代最低のCd値を達成。車体構造にはリサイクルアルミニウムを多用し、生産時CO₂排出量も大幅に削減しています。

フェラーリ・ルーチェは、単なる電動化モデルではありません。伝統的な跳ね馬のDNAを継承しながら、パフォーマンス、快適性、デザイン、そして感性までも再定義した、新時代のフェラーリです。

【ひとこと解説】
ジョナサン・アイブ(Sir Jonathan Ive, 1967年生)
は、Appleの元チーフ・デザイン・オフィサーとして、iMac・iPod・iPhone・iPad・Apple Watchなど同社の主要製品デザインを手がけた世界的デザイナーです。1992年にAppleへ加入し、スティーブ・ジョブズ復帰後にインダストリアルデザイン部門を率い、同社のミニマルで一貫したデザイン言語を築きました。2019年に退社後はLoveFromを設立し、FerrariやAirbnb、OpenAIなどと協業を続けています。また、2017年からロイヤル・カレッジ・オブ・アートの学長を務め、2025年には大英博物館の理事にも就任しています。

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