マクラーレン、幻のロードカー構想「M6GT」をグッドウッドで公開へ

【ポイント】
・ブルース・マクラーレンの夢を現代に蘇らせる一台
・MSOが歴史的資料とオリジナル金型で再構築した真正のレストア
・レーシングカーとロードカーを結ぶマクラーレンの原点
マクラーレンは、2026年7月6日、創業者ブルース・マクラーレンが思い描いたロードカー構想を現代に蘇らせた「M6GT」を、2026年のグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードで初公開すると発表しました。この車両はマクラーレン・スペシャル・オペレーションズ(MSO)が手がけたワンオフのレストアモデルです。
M6GTは、ブルース・マクラーレンのロードカーへの野心を最初に表現した存在です。ベースとなる思想は、M6Aレーシングプログラムに由来します。耐久レースで培われた空力的な造形、軽量エンジニアリング、そしてレース由来のプロポーションが、そのデザインに反映されています。ブルース自身も最初のプロトタイプを私用車として使い、会議やレースイベントへの移動に用いていました。

今回のM6GTは、マクラーレンのアーカイブに保管されていた歴史的図面やオリジナルのボディ金型、当時の写真や資料をもとに、MSOが一から構築したものです。シャシーには当時製作されたM6Aレーサー由来のものを使用し、歴史的なマクラーレン車両と照合して真正性を確認しています。ボディワークは英国で発見されたオリジナル金型を使用して再現されました。

パワートレインには時代考証に合ったエンジンとギアボックスを採用し、スモールブロックV8には当時の仕様に沿った「キャメルハンプ」シリンダーヘッドが組み合わされます。サスペンションもオリジナルのM6GT用ハードウェアを修復・再構築したもので、一部には現在では通常生産されていないインペリアル規格のベアリングを調達しています。
車内には1970年代のM6GTレーシングカー由来のコックピットを中心に据え、ロールフープ、リアフレーム支持構造、内部クラム補強、ワイヤリングハーネスなどの見えない構造部品もMSOの専門職人が手作業で製作しました。小さな固定具に至るまでこだわり、航空宇宙産業の熟練職人によって、当時風のクローズド・アルミニウム・ドームリベットが用いられています。
インテリアでは、手作業で削り出されたソリッドウォールナット製のシフトノブを採用。シートには、グリーントーンでステッチ入りヒートシームを施したカスタムビニールを用い、マクラーレンのレーシングヘリテージをさりげなく表現しています。専用形状のウインドスクリーンは、形状をスキャンしたうえで専門サプライヤーが再現しました。

外装色は、ブルースがロードカー構想を育んだ工場にちなむ特別色「コルンブルック・ホワイト」です。クリームを帯びた白のボディとグリーンのインテリアは、1966年のマクラーレン初のF1マシン「M2B」の白い車体とグリーンのストライプに着想を得たものです。

M6GTの思想が量産顧客向けモデルとして結実するまでには、その後25年を要しました。高度にチューニングされたエンジン、バタフライドア、空力的シルエットという構想は、のちのマクラーレンF1で実現します。今回のM6GTは、マクラーレンのレーシングの原点とロードカーの未来を結び直す、MSOヘリテージコレクションの出発点となる一台です。
【ひとこと解説】
キャメルハンプ(Camel Hump)シリンダーヘッドとは、主にGMスモールブロックV8(特に1960〜70年代)で使われた高性能鋳鉄ヘッドの俗称で、鋳造面にラクダのコブのような二つの突起マークがあることからそう呼ばれます。正式には“Fuelie Head”とも呼ばれ、当時のコルベットやハイパフォーマンス仕様に採用されました。特徴は高流量の吸排気ポートと大径バルブ(2.02/1.60インチ)を備え、同時期の量産ヘッドより明確に高い吸気効率を実現した点です。これにより高回転域の出力が向上し、ストックでも優れたレスポンスとパワーを発揮します。現在ではクラシックV8の定番チューニングパーツとして人気が高く、オリジナルのキャメルハンプはコレクターズアイテムとして扱われています。










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