ロールス・ロイス、実験車3モデルの節目を祝う。未来を切り拓いたEXの軌跡

・20年・15年・10年が重なる革新の到達点
・電動化とビスポークを生み出した技術の源流
・未来の自動運転ラグジュアリーを示した象徴的存在
ロールス・ロイスは2026年、グッドウッド時代に誕生した実験車「EX」シリーズのうち、101EX(2006年発表)、102EX(2011年発表)、103EX(2016年発表)の3台が、それぞれ20周年、15周年、10周年を迎えたことを記念しました。これらのモデルは単なるコンセプトではなく、実際に走行可能な完成車として開発され、同社のデザイン、技術、エンジニアリング、そしてビスポーク思想の確立に大きく寄与してきました。
101EXは2006年のジュネーブモーターショーで公開された4座クーペです。ファントムVIIと同じアルミ製スペースフレームを採用しながら、全長を240mm短縮。カーボンファイバー複合素材のボディと6.75リッターV12エンジンの組み合わせにより、よりパフォーマンス志向かつドライバーズカーとしての性格が与えられました。低いルーフラインや浅いガラスエリア、後方へと延びるブラッシュドアルミのボンネットなど、独自のデザインも特徴です。さらに世界初採用となる「スターライト・ヘッドライナー」は、数百の光ファイバーによる星空演出を実現し、現在では同社の象徴的ビスポーク装備となっています。このモデルは2008年に市販化されたファントム・クーペの礎となりました。

2011年発表の102EXは、ブランド初のバッテリー電気自動車(BEV)であり、「ファントム・エクスペリメンタル・エレクトリック」として開発されたワンオフモデルです。当時世界最大容量のバッテリーを搭載し、さらにワイヤレス誘導充電システムを世界で初めて採用しました。加えて、パワーステアリングやABS、暖房、オーディオといった従来エンジンに依存していた機能をすべて電動化するという技術的挑戦も行われています。発表後は約1年間にわたり世界各地を巡回し、顧客やメディアからのフィードバックを収集。その知見は後の電動モデル開発、特にBEV「スペクター」へとつながる重要な基盤となりました。

そして2016年に登場した103EXは、未来のラグジュアリー像を提示するビジョンカーです。全長5.9m、全高1.6mというファントム・エクステンデッドと同等のサイズを持ち、ゼロエミッションの電動パワートレインを採用。室内は「グランド・サンクチュアリ」と呼ばれ、従来のシートを廃し、浮遊するように見えるソファを配置することで、軽やかで優雅な空間を演出しています。また、ガラス製で下方から照らされるスピリット・オブ・エクスタシーを初採用した点も特筆されます。さらに「エレノア」と名付けられたデジタルアシスタントを搭載し、完全自動運転とシームレスなデジタル体験を提供する構想が示されました。

これら3台はいずれも、1919年の1EXに始まる実験車の系譜に連なり、革新と挑戦の精神を現代へと受け継ぐ存在です。価格や発売時期は設定されていませんが、それぞれが後の量産モデルや新技術の礎となり、ロールス・ロイスの未来像を具体的に示した点で極めて重要な役割を担っています。
【ひとこと解説】
ロールスロイス 1EX は、1919年に製作された同社初の実験車両(Experimental=EX)で、後に続くEXシリーズの出発点となった重要なモデルです。1EXは市販を前提としない技術検証用プロトタイプとして開発され、軽量化や高性能化を目的に新素材・新構造のテストが行われました。EXシリーズは「走る実験室」として実際に走行可能な完成車であり、後のファントムや現代の100EX・101EX・102EXなどへ続くロールスロイスの革新文化を築きました。















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