JLRが無料STEM教育プログラム「Create Possible」を英国の学校に導入!未来のエンジニア育成と地域格差是正を目指して

- JLRが11〜14歳向け無料教育プログラム「Create Possible」を開始、STEM人材育成を支援
- 約26%の生徒が「STEMは男子向け」と誤認、地域格差も浮き彫りに
- 実社会と連動した教材・社員Q&A動画などで学びの魅力を強化
英国の高級自動車メーカー、JLR(ジャガー・ランドローバー)は2025年11月4日、全国の中学校を対象にした無料教育プログラム「Create Possible(クリエイト・ポッシブル)」を正式に発表しました。本プログラムは、教師と生徒(11〜14歳)向けに実社会と連動した教材を提供し、英国が直面するSTEM(科学・技術・工学・数学)分野の人材不足解消を目指す取り組みです。

この発表は、JLRが実施した1,000人の生徒を対象とする意識調査の結果を受けて行われました。調査では、26%の生徒が「STEMは男子のための科目」と回答し、性別に基づく誤解が依然として根強いことが判明しました。一方で、女子の75%が「STEM分野でのキャリアを検討している」と答えており、男子(88%)との差は縮まりつつあります。また、地域間の格差も明らかになり、ロンドンの生徒の36%が理科フェアなどの課外STEM活動に定期的に参加している一方、全国平均は20%にとどまり、教育機会の“郵便番号格差”が浮き彫りとなりました。
「Create Possible」は、こうした課題に応えるために設計された無料オンライン教育プログラムです。カリキュラムに準拠したレッスンプラン、インタラクティブな体験型アクティビティ、そしてJLRの現役社員によるQ&A動画などを通じて、生徒たちが自分の得意分野を発見し、学習意欲を高め、将来の進路選択に自信を持てるよう支援します。
JLRのスクール・エンゲージメント・リードであるモーガン・ゴア氏は次のように述べています。
「教育現場は急速に変化する世界に生徒を備えさせるというプレッシャーに直面しています。Create Possibleは、教師と生徒を支援し、STEM分野のスキルギャップを埋めるための重要な投資です。次世代のイノベーターを育成する一助となることを願っています。」
また、ワーウィックシャーのオークリー校でデザインテクノロジー部門を率いるローナ・トラウト氏も、「このプログラムは授業の枠を超え、実社会のキャリアへの洞察を早期に得られる貴重な機会を提供している」と評価しています。
JLRは以前から若者の未来支援に注力しており、「Create Possible」はその取り組みの一環です。2022年には産業界と教育現場をつなぐ「Schools’ Partnership Programme」を開始し、2023年には7,500人以上の学生が参加したバーチャル職業体験プログラムを実施。そして2025年初頭には、子どもや若者、とりわけ困難な環境にある層を支援するため、JLR Foundation(JLR財団)を設立。初期資金として250万ポンド(約5億円)を拠出し、教育・人材育成プログラムを強化しています。
JLRの教育支援は単なる社会貢献にとどまりません。自動車業界がデジタル化や電動化で急速に変化する中、STEM分野の人材育成は企業の未来そのものに直結します。JLRは「Create Possible」を通じて、生徒たちが新しいテクノロジーに興味を持ち、自らの可能性を“創り出す”ことを後押ししようとしています。
英国のSTEM教育の未来を動かす原動力として、この新しいプログラムがどのような成果をもたらすか注目が集まっています。
【ひとこと解説】
STEM教育とは、「Science(科学)」「Technology(技術)」「Engineering(工学)」「Mathematics(数学)」の頭文字を取った教育分野の総称です。これらを単独で学ぶのではなく、実社会の課題解決や探究活動を通じて横断的に学ぶのが特徴です。創造的思考や論理的判断力、問題解決力を養うことを目的としており、AI・デジタル・環境技術など次世代産業を支える人材育成に欠かせない教育アプローチとして、世界的に重視されています。















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