99%を再生可能燃料で走る!メルセデスAMG F1チームが描く「サステナブル輸送」の未来へ

2025年ヨーロッパシーズンにおけるトラック輸送の99%をHVO100バイオ燃料で実施
CO₂排出量を累計1,190トン以上削減、標準ディーゼル比で81%の削減効果
eActros 600電動トラックによる初の長距離輸送にも成功、CO₂排出を最大80%削減

メルセデスAMGペトロナスF1チームは、2025年ヨーロッパシーズンにおけるレースおよびマーケティングトラック輸送の99%を、再生可能燃料「HVO100」で実施したと発表しました。タイトルおよびテクニカルパートナーであるPETRONASとの協力により、同チームは2022年からHVO100の導入を進め、今回の成果に至りました。これまでの取り組みで累計1,190トン以上のCO₂排出を回避しており、持続可能な輸送の実現に大きく前進しています。

HVO100(Hydrotreated Vegetable Oil)は第2世代のドロップイン型バイオ燃料で、従来のディーゼルに比べてライフサイクル全体で最大81%の排出削減が可能です。エンジン改造を必要としない点も特長で、既存の輸送車両にそのまま使用できる点が高く評価されています。

同チームはまた、電動トラックによる新たな挑戦も開始しました。2025年7月のイギリスGPで成功したパイロット運用を経て、8月にはメルセデス・ベンツのeActros 600を使い、ブレックリーからオランダのザントフォールトまで673kmを走破。この全電動トラックは急速充電機能を備え、ディーゼル車と比べてライフサイクルCO₂排出を最大80%削減できます。

サステナビリティ部門責任者のアリス・アシュピテル氏は、「HVO100の99%導入は、私たちの“トラック内外での革新”を体現しています。バイオ燃料で走る1kmごとに、2040年のネットゼロ実現に近づいています」と述べています。同チームは2030年までにレースチーム運営における排出ゼロ、2040年までに全スコープでの完全ネットゼロを目指すとしています。

さらに、将来的にはヨーロッパ以外のレース地域でもHVO100の使用を拡大し、メルセデス・ベンツの電動トラック「eフリート」の活用範囲も拡大する計画です。F1という“世界最速の実験室”を舞台に、持続可能なモータースポーツの未来が着実に形になりつつあります。

【ひとこと解説】
ドロップイン型バイオ燃料とは、既存の内燃機関や燃料供給インフラをそのまま使える再生可能燃料のことです。従来のディーゼルやガソリンの代わりに「そのまま(=ドロップイン)」使用できるため、追加の改造や設備投資が不要です。主に植物油や廃食油などを原料に製造され、化石燃料とほぼ同等の性能を持ちながら、CO₂排出量を大幅に削減できるのが特長です。HVO100もその代表例で、最大81%の排出削減が可能です。


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