未来のスプリンターが動き出す!メルセデス・ベンツが商用車を再定義する新時代へ

- 1896年に世界初の商用車を発明、1995年にスプリンターで業界を革新
- 新型スプリンターは「MB.OS」とOTA更新で常に最新の機能を維持
- 電動VAN.EAと内燃VAN.CAの2アーキテクチャで全用途に対応
メルセデス・ベンツ・バンズは2025年10月27日、独シュトゥットガルトで未来のスプリンターを示唆する新コンセプト「THE BOuLDER」を発表しました。全長650cm、高さ275cm、幅250cmの石の彫刻のような造形は、次世代スプリンターのデザインと存在感を象徴するものです。商用車の原点から130年を迎える節目に、同社は1899年製「ベンツ・コンビネーション・デリバリービークル」(世界最古の走行可能な配送車)を再現し、過去から未来への進化を提示しました。

メルセデス・ベンツは1896年にカール・ベンツが発明したモーター付き配送車で商用車の概念を創出。2.75〜6馬力の単気筒エンジンを搭載し、最大速度は20km/h。馬車の約3倍の積載量を実現し、都市輸送を革新しました。以来、同社は常に「顧客のための道具」として実用性と耐久性を追求してきました。
そして1995年、スプリンターの登場が再び業界を変えました。乗用車の快適性と商用車の積載力を融合し、世界で500万台以上を生産。ヨーロッパではリピート率77%を誇るベストセラーです。建設業や救急車、宅配車、キャンピングカーまで、あらゆる業界で信頼の象徴となっています。
次世代スプリンターは2026年から導入され、電動化とデジタル化を両立する新アーキテクチャが採用されます。電動専用の「VAN.EA(Van Electric Architecture)」は高効率なEVモデルを、そして「VAN.CA(Van Combustion Architecture)」は最新の内燃エンジン車を支えます。これにより、業種別に最適化された仕様を提供可能となり、配送、建設、医療、旅客輸送などあらゆる用途に対応します。
さらに注目は、独自開発の車載OS「MB.OS(Mercedes-Benz Operating System)」の採用です。AIを活用したクラウド連携により、走行支援から充電制御まで統合管理。車両全体のソフトウェアを“スマートフォンのように”無線で更新できる「オーバー・ジ・エア(OTA)」機能を標準装備します。これにより、車両は常に最新状態を維持し、第三者アプリの統合も容易になります。
開発責任者アンドレアス・ツィガン氏は「次世代スプリンターは効率性と知能を融合した最高峰の商用車になる」と語り、バンズ部門責任者トーマス・クライン氏も「130年にわたる信頼の上に、再び輸送の未来を築く」と強調しました。
メルセデス・ベンツは、過去の革新を礎に、デジタルと電動化の時代に向けた“究極のトランスポーター”を再定義しています。
【ひとこと解説】
オーバー・ジ・エア(OTA:Over The Air)とは、車両のソフトウェアを無線通信で更新・改善できる技術です。従来は整備工場で行っていた制御プログラムの更新や機能追加を、インターネット経由で自動的に実施できます。これにより常に最新の機能や安全性を維持でき、車両の性能向上や新サービスの導入も可能になります。スマートフォンのアップデートのように、利便性とコスト効率を大幅に高める先進技術です。
















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