新型電動GLCの心臓部をルーマニアから!メルセデス・ベンツがセベシュ工場で電動駆動ユニット生産を開始

メルセデス・ベンツがルーマニア・セベシュ工場で電動GLC向け駆動ユニット生産を正式スタート
投資額により3万平方メートルの新施設を建設、200以上の工程をデジタル管理
再生可能エネルギー使用でカーボンニュートラル運用を実現、持続可能な生産体制へ

メルセデス・ベンツは2025年10月13日、ルーマニアのセベシュにある子会社「スター・アセンブリー」で、完全電動モデル「メルセデス・ベンツGLC」向けの電動駆動ユニット(Electric Drive Unit:EDU)の量産を正式に開始しました。これは同社の電動化戦略を支える重要なマイルストーンであり、同工場がグローバル生産ネットワーク内で果たす役割をさらに強化する取り組みです。

Die Montage der elektrischen Antriebseinheiten für den GLC zu einem Gesamtsystem findet im Werk Sebeș statt. The assembly of the electric drive units for the GLC into a complete system takes place at the Sebeș plant.

セベシュ工場は、ドイツ・ウンターテュルクハイム工場に次いで、世界で2番目に電動駆動ユニットを供給する拠点となります。ここで生産されたユニットは、ドイツ・ブレーメン工場で2026年に本格生産が始まる新型GLCに搭載されるほか、2026年以降にはハンガリー・ケチケメート工場で生産される新型電動Cクラスにも供給される予定です。

新施設は総面積3万平方メートルにおよび、組立および物流機能を統合した最新の生産棟です。組立ラインの延長は約1000メートル、200以上の手動および自動化プロセスで構成され、約1万5000平方メートルの製造エリアで高度な組立が行われます。EDUは電動モーター、パワーエレクトロニクス、ギアユニットの3要素で構成され、これらを一体化する精密な工程が求められます。従業員は既存部門から再配置され、広範な再教育・研修プログラムにより高いスキルを習得しています。

生産ラインはメルセデス・ベンツのデジタル生産エコシステム「MO360」に完全統合され、MO360データプラットフォームを通じて全ての部品や工程データを追跡可能にしています。これにより品質管理と生産効率の両立を実現しています。

また、同工場はメルセデス・ベンツの全自社拠点と同様に、再生可能エネルギー由来の電力を使用し、カーボンニュートラル(実質ゼロ排出)運用を達成しています。現在、最大5MW規模の太陽光発電システム設置も検討中で、新設の生産棟はヒートポンプによる熱供給を受けています。

メルセデス・ベンツ取締役会メンバーのヨルク・ブルツァー氏は、「この新しい高技術製品の生産開始は、我々の変革を象徴する成果」とコメント。ルーマニアのイリエ・ボロジャン首相も、「この投資は技術移転と雇用、そして持続可能な経済発展につながる」と称賛しました。

2013年の設立以来、スター・アセンブリーは8速デュアルクラッチトランスミッションなどの生産を担い、2020年にはハイブリッドユニットを手掛けるなど、着実に電動化へシフトしてきました。今回の電動駆動ユニット量産開始は、ルーマニアをヨーロッパの電動モビリティ生産拠点の一角へと押し上げる重要な一歩となります。

【ひとこと解説】
デジタル生産エコシステムとは、生産現場のあらゆる工程や設備、従業員、サプライチェーンをデジタル技術でつなぎ、データを共有・分析する統合型の生産システムです。IoTセンサーやAI、クラウド技術を活用し、リアルタイムで生産状況を把握できるため、品質向上や効率化、設備の予防保全が可能になります。さらに、グローバル拠点間で情報を共有することで、迅速な意思決定と柔軟な生産対応を実現する次世代のスマート工場基盤です。

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