メルセデスAMGペトロナスF1、英国カート選手権に持続可能燃料を導入。若手育成と環境配慮を両立

  • 英国カート選手権「IAME Waterswift Restricted Cadet Class」で持続可能燃料を導入し、55%の排出削減を達成
  • メルセデスAMGペトロナスF1チームが資金提供、次世代育成と環境戦略を両立
  • ジョージ・ラッセルらF1ドライバーも輩出した登竜門で、草の根から持続可能なモータースポーツへ

メルセデスAMGペトロナスF1チームは、Motorsport UKと協力し、2025年英国カート選手権「IAME Waterswift Restricted Cadet Class」に持続可能燃料を導入しました。本取り組みは同チームの資金提供によって実現し、第3戦以降で従来の化石燃料と比較して55%の排出削減を達成しました。これはトップカテゴリーでの環境戦略を草の根レベルに広げる試みであり、モータースポーツ全体の持続可能な未来を後押しするものです。

英国カート選手権は、F1ドライバーの登竜門として知られ、同チーム所属のジョージ・ラッセルも2010年に参戦していました。また、ジュニアプログラム所属のケンゾー・クレイジーやイーサン・ジェフ=ホールといった新進気鋭の若手もここで経験を積んでいます。ラッセルは「持続可能燃料の活用がF1にとどまらず、若手育成の現場で広がるのは素晴らしいこと」とコメントし、次世代ドライバーにとって環境配慮型の競技環境が重要であることを強調しました。

今回の取り組みは、同チームが掲げる「2030年までのネットゼロ」目標に直結しています。燃料使用はモータースポーツ全体のカーボンフットプリントの一部に過ぎませんが、観客や参加者に最も身近で視覚的に伝わる部分であるため、持続可能燃料の採用は大きな意義を持ちます。Motorsport UKのダン・パーカー氏も「パフォーマンスを損なわずに排出を減らせることは、若手育成と環境の両立を示す力強い一歩」と語りました。

また、チーム代表のブラッドリー・ロード氏は「カートは多くのF1ドライバーにとって基盤。私たちは2026年以降の新時代に向け、草の根レベルから持続可能な変革を促進していきたい」と述べ、持続可能なモータースポーツ文化の定着に強い意欲を示しました。

この取り組みは、若手育成の現場と世界最高峰の舞台をつなぎ、環境対応型の未来を切り開く先駆的なモデルといえます。

【ひとこと解説】
英国カート選手権(British Kart Championships)は、イギリスにおけるカートレースの最高峰シリーズで、半世紀以上の歴史を誇ります。1960年代に組織的な全国選手権としてスタートし、以来、若手ドライバー育成の重要な舞台となってきました。ルイス・ハミルトン、ジェンソン・バトン、ジョージ・ラッセルら多くのF1ドライバーがキャリア初期に参戦し、技術と競争心を磨いた場として知られています。クラスは年齢やエンジン規格に応じて細分化され、IAMEやRotaxなど国際的規格を導入。現在はMotorsport UKが統括し、国内各地のサーキットで年間シリーズを開催。才能発掘と同時に、最新技術や持続可能な取り組みの実証の場ともなり、英国モータースポーツ文化の基盤を支える存在です。

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