- バクーGPでリアホイールシールドにバイオ由来カーボンファイバーを実戦投入
- 樹脂成分の30%を再生可能資源に置換、極限条件で性能を証明
- 2040年ネットゼロ目標に向けたサステナブル素材活用の重要ステップ
メルセデスAMGペトロナスF1チームは、2025年9月のアゼルバイジャングランプリで、持続可能なカーボンファイバー複合材を初めて実戦投入しました。W16のリアブレーキダクト用ホイールシールドに、新たに開発されたバイオ由来樹脂を用いた複合材を採用。従来の石油系樹脂の30%を再生可能資源由来に置き換えたもので、F1特有の高温・高負荷環境下で性能と耐久性を実証しました。

この技術は、複雑な空力形状を持つ部品にも適用可能であることを示し、今後の広範な導入に道を開くものです。実際、#63号車はこの新素材を搭載して2位でフィニッシュし、性能面での妥協がないことを証明しました。
チーム代表トト・ヴォルフ氏は「F1は世界最速の実験室。今回の成果はサステナビリティとパフォーマンスの両立に向けた挑戦だ」と強調。サステナビリティ責任者アリス・アシュピテル氏も「バイオディーゼル副産物から得られる樹脂を活用し、新たなベンチマークを打ち立てた」と述べています。
開発にはSyensqo社が協力しており、持続可能な素材イノベーションの一環として実現。メルセデスAMGペトロナスF1チームはすでに持続可能航空燃料(SAF)やHVO100バイオ燃料の導入でも先行しており、2040年までのネットゼロ達成に向け、モータースポーツを超えた産業への波及も視野に入れています。
【ひとこと解説】
Syensqo(シエンスコ)は、ベルギーを本拠とする先端材料・特種化学品メーカーです。2023年にソルベイから分社化して誕生し、ブリュッセルに本社を置きます。航空宇宙、自動車、エネルギー分野向けに高性能ポリマーや複合材料を提供し、軽量化や効率化を支える技術で知られます。特に再生可能資源を活用したバイオベース樹脂や循環型素材の開発に注力し、持続可能性と高性能の両立を目指しています。F1チームとの協業でも革新性を発揮しています。
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