- ドイツ有数規模のオンショア風力発電所(20基、総出力140MW)が着工
- 発電電力はメルセデス・ベンツのドイツ国内年間需要の約20%を賄う見込み
- 2030年までに生産拠点の70%以上を再生可能エネルギーで供給する計画の一環
メルセデス・ベンツは、ドイツ北部パーペンブルクにある自社試験場で、国内最大級となるオンショア風力発電所の建設を開始しました。計画によると2027年までに20基の風力タービンが設置され、総発電容量は140MWに達します。この規模は同社のドイツ国内における年間電力需要の約20%をまかなうことができ、持続可能な事業戦略の重要な柱となります。
このプロジェクトは、環境配慮型発電施設の開発を手掛けるUKA(Umweltgerechte Kraftanlagen GmbH & Co. KG)が主導し、タービンはドイツのメーカーであるNordex製を採用。さらに、ハブ高164mのハイブリッドタワー用基礎・コンクリート部材はMax Bögl Wind AGが供給します。建設現場では課題もあるものの、関係各社が協力し「記録的なスピード」での完成を目指しています。
メルセデス・ベンツの生産・品質・サプライチェーン担当取締役であるヨルク・ブルツァー氏は「この風力発電所は、当社のサステナビリティ戦略を具体的に示すもの」と語り、エコロジーと経済性の両面で成果を期待しています。またUKAグループのゲルノート・ガウグリッツ氏は「25年間にわたりメルセデス・ベンツへ電力を供給できることは誇りであり、当社が大規模産業向けの信頼ある電力供給者であることを示す」と強調しました。
約800ヘクタールに及ぶパーペンブルク試験場は、1998年以来、同社の研究開発拠点の一つとして活用されてきました。今回の風力発電所建設は、同地域の持続可能な土地利用と調和させつつ、自治体や地域ステークホルダーとの密接な協議を経て実現しています。
メルセデス・ベンツはすでに2022年から自動車生産拠点をネットカーボンニュートラル化しており、2030年までに生産拠点のエネルギー需要の70%以上を再生可能エネルギーで賄う計画です。今回のパーペンブルクのオンショア風力発電所や、進行中のバルト海沖の洋上風力発電プロジェクトは、その達成に向けた重要なマイルストーンとなります。最終的には、全世界の生産拠点で100%再生可能エネルギーによる操業を目指しています。
この着工は、ドイツ国内の再生可能エネルギー拡大にも貢献するだけでなく、自動車産業における持続可能性のリーダーとしてのメルセデス・ベンツの立ち位置をさらに強固なものにする一歩といえるでしょう。
【ひとこと解説】
オンショア風力発電所とは、陸上に建設される風力発電施設のことです。風車(風力タービン)を地上に設置し、風の力でブレードを回転させて発電機を動かし電力を生み出します。海上に設置される「オフショア風力発電所」と比べ、建設や維持管理のコストが比較的低く、送電網との接続も容易です。ただし、騒音や景観への影響、風況の制約を受けやすいという課題もあります。再生可能エネルギーの一翼を担う重要な電源です。
コメント