- タイカン ターボGTが豪州シドニードラッグウェイで9.083秒/252km/hを記録
- 量産市販車として国内最速、従来は改造V8が支配する舞台でEVが快挙
- 最大815kWを発揮するオーバーブーストとヴァイザッハパッケージで圧倒的性能
2025年9月15日、ポルシェの新型「タイカン ターボGT」がオーストラリア・シドニードラッグウェイにて衝撃的なデビューを飾りました。一般公開される水曜夜のドラッグミーティングに登場した同車は、観客の前でソロランを披露。結果は1/4マイル(約402m)をわずか9.083秒、終速252.04km/hという驚異的なタイムで駆け抜け、国内の量産市販車として新記録を樹立しました。この数値は、ドラッグ競技を統括する国際ホットロッド協会(IHRA)が定める150mph(241.4km/h)の速度規制を大幅に超えており、通常であればパラシュート装備が必要とされるレベルです。

この圧倒的な記録を可能にしたのが、タイカン ターボGTに搭載された先進の電動パワートレインです。ポルシェ史上最速の電動車であり、同時に最もパワフルなロードカーとされるこのモデルは、ローンチコントロール作動時に760kWのオーバーブーストを発揮。さらに最大2秒間限定で約1108PSを解放できる仕様となっており、その加速力はスーパーカーを凌駕するレベルに達しています。
また、Weissach(ヴァイザッハ)パッケージの装備により、徹底した軽量化と空力性能の最適化が行われています。これにより、従来は改造V8や専用ドラッグマシンが主役だった直線ステージでも、量産EVが堂々と肩を並べる、あるいは凌駕する存在感を示しました。観客の多くは、静かでありながら圧倒的な加速を見せつける光景に驚嘆し、EVが持つポテンシャルを体感する貴重な瞬間となりました。

今回のデモンストレーションは、単なる記録更新にとどまらず、ポルシェが描く次世代パフォーマンス像を体現するものでもあります。精密なエンジニアリングと革新技術、そして「加速する歓び」を融合させる姿勢は、モータースポーツの文化的転換点を象徴しています。従来、ドラッグレースは大排気量エンジンと爆音が象徴でしたが、その舞台に電動ポルシェが堂々と立ち、EVでも同等以上の興奮を提供できることを証明しました。
ポルシェ・カーズ・オーストラリアのCEO兼マネージングディレクター、ダニエル・シュモリンガー氏は「ポルシェは常にパフォーマンスの最前線に立ってきました。タイカン ターボGTは、我々が限界を押し広げる姿勢を示す存在です。これは単なる数値の勝負ではなく、未来のドライビング体験をどう想像し、どう実現するかという挑戦です」とコメント。ブランドが築いてきたレーシングスピリットを電動化の時代へとつなげる強い意志を表明しました。
ポルシェはすでに電動化戦略を積極的に進めており、タイカンシリーズはその象徴的存在です。今回のターボGTは、その頂点に位置づけられるモデルであり、単なる高性能EVではなく、「未来のスポーツカー像」を具現化した一台といえるでしょう。シドニードラッグウェイでの記録は、今後EVがモータースポーツやカーライフにおいて果たす役割の大きさを改めて印象づける結果となりました。
ポルシェジャパン公式ホームページ
【ひとこと解説】
Weissach(ヴァイザッハ)パッケージは、ポルシェの高性能モデルに用意される軽量化&ハードコア仕様のオプションです。車体から遮音材や後席を取り外し、軽量素材のパーツを採用することで重量を削減。さらに空力性能を高める専用エアロパーツやサスペンションチューニングも施され、サーキットやドラッグレースでのタイムアタック性能を追求します。タイカン ターボGTにおいても、このパッケージにより最大限の加速力と走行安定性が実現されています。
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