ポルシェ、製品戦略を再編。内燃機関モデルの強化とEV開発計画の見直し

  • 新型SUV(カイエン上位)は当初予定のEVではなく内燃機関&PHEVで発売
  • EV専用プラットフォーム開発を2030年代に延期、既存BEVは継続改良
  • 2025年は最大31億ユーロの特別費用を計上、利益率予想を下方修正

ポルシェAGは2025年9月、製品戦略の最終的な再編計画を公表しました。経営環境の変化を踏まえ、内燃機関モデルをブランドの柱として強化しつつ、電動化の進展を現実的なペースに調整する方針です。

最大の変更点は、カイエンを上回る新型SUVです。当初は完全EVとして開発されていましたが、市場状況を受けて内燃機関およびプラグインハイブリッド専用で投入されます。さらにパナメーラやカイエンといった現行モデルも2030年代半ばまで内燃機関を継続販売し、後継世代の開発をサイクル計画に組み込みました。

一方、BEVについては需要の伸び悩みを反映し、特定モデルの市場投入を延期。特に次世代EV専用プラットフォームは2030年代に先送りし、フォルクスワーゲングループ内で技術再設計を行います。ただし、タイカンやマカンEV、カイエンEV、そして718セグメントの2ドアスポーツカーといった既存および近い将来のBEVラインアップは継続強化されます。

CEOオリバー・ブルーメ氏は「市場の現実と顧客ニーズの変化に応えるため、内燃機関、PHEV、BEVのバランスを重視する」と強調。CFOヨッヘン・ブレックナー氏も「短期的には財務負担となるが、ブランド価値と持続的競争力を高める投資」と述べています。

財務面では、この戦略再編に伴い2025年度に最大31億ユーロの特別費用を計上。うち18億ユーロはEVプラットフォーム開発延期に関連する減損や引当金です。その結果、売上高は従来予想通り370〜380億ユーロを維持するものの、営業利益率予想は5〜7%から最大2%へと大幅に下方修正。EBITDAマージンも14.5〜16.5%から10.5〜12.5%へ引き下げられました。なお、自動車部門のBEV比率は20〜22%と従来予測を維持しています。

株主還元については、税引後利益の50%を超える配当性向を予定していますが、絶対額では前年を下回る見通しです。最終的な配当額は今後決定されます。

ポルシェは「困難な環境下でもブランド力を磨き、魅力的な製品を提供し続ける」と強調。内燃機関の延命と電動化の現実的再設計を両立させることで、中長期的な収益力の安定化を目指しています。


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