ボルボ、新型XC70発表。200km超EV走行と双方向充電を備える長距離PHEV

  • CLTC基準で200km超のEV走行を実現、ボルボPHEV史上最長
  • 急速充電は0〜80%まで23分、双方向充電で家電・キャンプ用品にも対応
  • 最新安全技術「Safe Space Technology」や大型AR HUDなど先進装備搭載

ボルボ・カーズは2025年8月、新型XC70を世界初公開しました。本モデルは同社初の長距離プラグインハイブリッドSUVであり、CLTCサイクル基準において200kmを超えるEV走行距離を実現しています。これはボルボのプラグインハイブリッド史上最長の数値であり、都市部の日常的な移動はもちろん、郊外へのドライブでも電気走行だけで十分に対応可能です。さらに、内燃機関との組み合わせによって航続距離は総計1,200km以上に達し、長距離旅行や充電環境が整っていない地域への移動でも安心して利用できます。

今回のXC70は、ボルボが新たに開発した「SMA(Scalable Modular Architecture)」プラットフォームを採用しています。これは長距離プラグインハイブリッド専用に最適化された設計で、中国市場における需要を強く意識したものです。実際、中国ではすでに予約受付が開始されており、今後は欧州市場への展開も予定されています。特に「完全電動化はまだ早いが、電気走行の利点を享受したい」という顧客層に向けて、橋渡し的な存在となることを狙っています。

充電技術にも注目です。新型XC70は急速充電に対応しており、0〜80%までわずか23分で充電可能です。加えて、バッテリーに双方向充電機能を備えており、外部電源として活用できる点もユニークです。キャンプやアウトドアでの電化製品使用はもちろん、非常時の電源供給源としても活用できるため、ライフスタイルの幅を大きく広げてくれる装備といえるでしょう。

デザイン面では、ボルボらしいスカンジナビアン・デザインを現代的に昇華。フロントにはクローズドタイプのシールドグリルを採用し、アクティブシャッターにより空力性能や冷却効率を最適化しています。これにより航続距離の延長と室内快適性の向上を両立。サイドには前後を貫くシャープなラインが施され、リアではC字型テールランプをガラス面に一体化させ、洗練されたモダンな印象を生み出しています。

インテリアは北欧デザインの伝統を継承しつつ、現代的な快適性を追求しました。高品質素材を用いた落ち着いた空間は、シンプルでありながら高級感を放ちます。12.3インチのドライバーディスプレイに加え、15.4インチの横型センターディスプレイを採用。この横長レイアウトにより、大きなナビゲーション地図と車両機能を同時に表示でき、直感的な操作性を実現しています。さらにオプションとして92インチのARヘッドアップディスプレイも用意され、視界内にナビ情報などを投影することで、没入感のあるドライビング体験を提供します。

快適性と実用性にも配慮されています。車内には豊富な収納スペースが用意され、長距離移動でも乗員が快適に過ごせるよう工夫されています。シャシーはしなやかに調整され、ステアリングもバランスよく仕上げられているため、オンロードでの滑らかな走行性能に加え、大径ホイールと高い最低地上高、全輪駆動システムによってオフロード走破性も兼ね備えています。まさに「どんな道でも対応できるSUV」としての魅力を備えています。

デジタル技術においても進化しています。最新のインフォテインメントシステムにはAI音声アシスタントが搭載され、ハンズフリーでの電話や音楽操作、車両機能の制御が可能です。また、スマートフォンアプリを通じて遠隔でエアコンのプレコンディショニングを行えるほか、ソフトウェアはOTA(Over-The-Air)でアップデートされ、購入後も機能改善や新機能の追加が期待できます。

安全性能はボルボの伝統的な強みであり、新型XC70も例外ではありません。「Safe Space Technology」を搭載し、レーダー・カメラ・各種センサーで周囲を常時モニタリング。危険を検知するとドライバーを支援し、衝突回避や被害軽減を図ります。都市部での使用を考慮し、自転車や歩行者へのドア開放時の警告機能など、実用的な安全支援も充実。さらに、自動車線変更支援、パークパイロットアシスト、アクティブナビゲーションなど運転支援技術も搭載し、長時間のドライブでも安心と快適を両立しています。

総じて、新型XC70は電動化と利便性、安全性を高次元で融合させたモデルです。200kmを超える電動航続距離と急速充電性能、さらに双方向充電による新しいライフスタイル提案は、プラグインハイブリッド市場における大きな魅力となるでしょう。完全EVへ移行する前段階としての役割を果たすと同時に、長距離移動をも快適にこなす万能SUVとして、多くのユーザーに訴求する一台となっています。

【ひとこと解説】
CLTCサイクル(China Light-Duty Vehicle Test Cycle)は、中国で導入されている乗用車や小型商用車向けの燃費・航続距離評価基準です。2021年に正式適用が始まり、従来のNEDCに代わる形で導入されました。実際の都市走行や高速走行をより反映するよう設計されており、加減速の頻度やアイドリング時間が多めに設定されているのが特徴です。そのため、航続距離はWLTPより長めに出る傾向があります。中国市場向けEVやPHEVの公表値は、このCLTCに基づいて示されます。

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