スウェーデンから始まる新たな電動化支援。ボルボ、EV購入者に「1年間の無料自宅充電」提供へ

- ボルボがスウェーデンでEV購入者に「1年間の無料充電」プログラムを開始
- パートナーのバッテンフォール社と連携し、再生可能エネルギーによる自宅充電を実現
- 年間最大約2万5,000km分の無料走行が可能、今後は欧州・世界へ展開予定
ボルボ・カーズは2025年10月21日、スウェーデン国内で新たにEV(電気自動車)を購入またはリースした顧客を対象に、「1年間の自宅充電無料プログラム」を発表しました。この取り組みは、スウェーデンのエネルギー企業バッテンフォール(Vattenfall)とのパートナーシップによって実施され、2026年2月から正式に開始されます。対象となるのはボルボの完全電動モデルで、再生可能エネルギーを用いた“化石燃料ゼロ”の自宅充電が1年間無料で提供されます。
このプログラムでは、最大で年間約2万5,000km分の走行に相当する電力量が無料となります。顧客はバッテンフォールとの電力契約を通じてサービスを利用でき、ボルボ・カーズの専用アプリを使用することで、車両の充電状況や電力消費量をリアルタイムで確認可能。充電コストは自動的に算出され、電気料金から差し引かれる仕組みです。
スマートチャージング機能も搭載されており、電力需要やCO₂排出量の少ない時間帯に自動で充電を行うことで、エネルギーコストと環境負荷を同時に削減します。ボルボ・カーズ エナジーソリューション部門のアレハンドロ・カストロ・ペレス副社長は、「お客様の声を反映し、持続可能な社会の実現に貢献するための一歩」とコメントしています。
今回のスウェーデンでの取り組みは、今後のグローバル展開の第一段階として位置づけられています。ボルボは各国の再生可能エネルギー企業と提携し、同様のプログラムをヨーロッパや他地域へ拡大する計画です。また、2026年に予定されている「V2X(Vehicle to Everything)」技術の導入により、双方向給電機能を備えたEX90などの車両では、車のバッテリーを家庭の電力供給や売電に活用する仕組みも検討されています。
ボルボとバッテンフォールは2012年に世界初のディーゼルPHEV「V60 Plug-in Hybrid」を共同開発して以来、持続可能なモビリティの推進で長年連携してきました。今回の取り組みもその延長線上にあり、両社は「電動化のハードルを下げ、より多くの人がEVを選べる社会を実現する」ことを共通の目標としています。
現在、ボルボは5種類の完全電動モデルを展開しており、2026年1月には新型EX60の発売を予定。ハイブリッドモデルも含め、ボルボはあらゆるユーザーに向けた電動化の選択肢を拡大し続けています。
【ひとこと解説】
V2X(Vehicle to Everything)は、車両と周囲のあらゆる対象(インフラ・他車・歩行者・電力網など)が通信・連携する技術の総称です。これにより、車がリアルタイムで交通状況や信号情報を取得し、安全運転や渋滞緩和を支援します。また、電気自動車では「双方向給電(V2GやV2H)」として、車のバッテリーを家庭や電力網に供給することも可能になり、エネルギーの効率的な活用や災害時の電源確保にも貢献します。















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