「Formulating the Future」。F1を変える持続可能燃料開発の最前線

  • メルセデスAMGペトロナスF1とペトロナスが次世代サステナブル燃料を共同開発
  • 非食用バイオマスや都市廃棄物、RFNBO由来の燃料を使用し、従来と同等以上の性能を実現
  • 新規則に対応したPU設計と専用潤滑技術で、持続可能性とパフォーマンスを両立

ペトロナスが展開する「Road to 2026」技術コンテンツシリーズ第3弾が公開されました。今回のテーマは、2026年からF1に導入される「先進的持続可能燃料」の開発です。メルセデスAMGペトロナスF1チームとペトロナスの技術パートナーシップが紹介され、次世代のレース燃料がいかに誕生しているかが明らかになりました。

この新燃料は、非食用バイオマス、都市廃棄物、あるいは非生物由来の再生可能燃料(RFNBO)を原料として開発され、従来のガソリンと同様に「ドロップイン」使用が可能です。最大の特徴は、従来と同等、あるいはそれ以上の性能を発揮しつつ、カーボンニュートラルなレース環境を実現できる点にあります。PU(パワーユニット)に合わせて燃料特性を最適化することで、効率的な燃焼と最大限の出力を引き出し、F1特有の極限の走行条件に応えることが可能です。

開発には複数の専門家が関わっており、メルセデスAMGハイパフォーマンス・パワートレインのHywel Thomas氏や、ペトロナスの燃料技術責任者Chan Ming-Yau氏、Chandramalar Muthiah氏、さらにチームのサステナビリティ責任者Alice Ashpitel氏が最新の知見を共有しています。彼らのコメントからは、燃料の進化が単なる性能向上だけでなく、F1の持続可能な未来に直結する重要なステップであることがうかがえます。

また、燃料開発はPETRONAS SyntiumエンジンオイルやPETRONAS Tutela機能性フルードと密接に連携して進められており、高温環境や電動化されたパワーユニットの高負荷条件においても、最高のパフォーマンスと信頼性を両立するよう設計されています。

この取り組みは、F1が掲げる「持続可能性」と「スピード」の両立を象徴するものです。ペトロナスは「より滑らかで力強く、応答性の高い走り」を実現する先進燃料を提供することで、F1の未来を支えると同時に、モータースポーツ全体の環境対応技術に革新をもたらしています。

本エピソード「The Science of Advanced Sustainable Fuel」は、メルセデスAMGペトロナスF1チームおよびペトロナスの公式デジタルプラットフォームで、権利フリーにて視聴可能となっています。

【ひとこと解説】
非生物由来の再生可能燃料(RFNBO:Renewable Fuels of Non-Biological Origin)は、バイオマスではなく再生可能エネルギーを利用して作られる合成燃料です。具体的には、風力や太陽光で発電した電力で水を電気分解し「グリーン水素」を製造し、これを大気中や産業由来のCO₂と合成してメタノールや合成ガソリン、ケロシン(航空燃料)などを生成します。これらは従来の内燃機関や航空機タービンにそのまま利用できる“ドロップイン燃料”であり、化石燃料を置き換えつつ二酸化炭素排出を大幅に削減できる点が特徴です。

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