「電動でも“アジリティ”は健在!アルピーヌA390が示す次世代トルクベクタリングの革新」

アルピーヌ初のEVファストバック「A390」に独自の3モーター構成を採用
リア左右独立制御の「アクティブ・トルク・ベクタリング」で0〜100%のトルク配分を実現
0→100km/h加速4秒未満、最大トルク800Nm超の走行性能と俊敏なハンドリングを両立

アルピーヌは2025年10月、新型オール電動ファストバックスポーツ「A390」を発表しました。同車は5人乗りながら、伝統の軽快な走りを継承するべく、5年にわたる開発期間を経て完成した「アルピーヌ・アクティブ・トルク・ベクタリング」を初搭載。従来の機械式LSD(リミテッドスリップデフ)を超える制御精度で、電動スポーツの新たな時代を切り拓きます。

A390の駆動システムは、フロント1基・リア2基の合計3モーター構成。リアの2基は左右のホイールを独立して駆動し、トルクを0〜100%の範囲で可変配分できるのが特徴です。これにより、従来の機械式デフでは不可能だったミリ秒単位のトルク制御を実現。走行中のステアリング角や車速に応じて左右輪のトルク差を調整し、オーバーステアやアンダーステアを瞬時に抑制します。

A390 GTSグレードは、アルピーヌ史上初の最高出力400ps超・最大トルク800Nm以上を発揮し、0〜100km/h加速は4秒未満、1,000m加速はわずか22秒という驚異的な数値を記録。それでいて車体の動きは軽く、ドライバーはクルマと一体化したようなフィーリングを得られます。コンスタンス・ルロー=レイゼール制御技術エンジニアは、「A390では質量感をまったく感じません。反応が驚くほど自然で俊敏です」と語ります。

このアクティブ・トルク・ベクタリングは安全性にも寄与し、片輪が氷上でスリップした際も瞬時にトルクを再配分してトラクションを確保。メーター内の専用ディスプレイと「Alpine Telemetrics Live Data」では、システムの作動状況をリアルタイムで確認できます。

A390には3つのトルク制御システムが組み合わされており、「Alpine Torque Pre-Control」がトラクションを、「e-AWD」が前後配分を、「Active Torque Vectoring」が左右配分を担当。これらが5つの走行モード(セーブ、ノーマル、スポーツ、パーソナライズ、トラック)と連動し、ドライバーの意図に応じて俊敏性・旋回性・安定性を自在に切り替えます。

ルロー=レイゼール氏は最後にこう結びます。「このトルクベクタリングによって、A390はA110並みの俊敏さを手に入れました。パワーと重量を感じさせない、驚くほど自然で楽しい電動スポーツです。」

【ひとこと解説】
トルクベクタリングとは、車の左右の駆動輪に伝える駆動力(トルク)を電子制御で最適に配分する技術です。カーブを曲がる際、外側の車輪に多くのトルクを与えることで旋回性を高め、内側に配分して安定性を向上させます。これにより、オーバーステアやアンダーステアを抑え、より自然で正確なハンドリングを実現します。従来の機械式デフに比べ、応答性が高く、電動車ではモーターごとの制御によりさらに精密なトルク配分が可能です。

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