「“マインドオフ”の時代へ。ルーシッドがNVIDIAと共同でレベル4自動運転EVを実現へ」

・ルーシッド、NVIDIAの「DRIVE AGX Thor」を搭載し、世界初の一般向けレベル4自動運転EVを計画
・「目・手・意識を離しても走れる」“マインドオフ”走行を目指し、ミドルサイズ車に導入予定
・NVIDIAの産業AIプラットフォームを用いて製造の自動化・効率化も推進
2025年10月28日、米ルーシッド・グループ(Lucid Group, Inc.)は、次世代自動運転と製造技術の両面でNVIDIAと提携し、世界初となる消費者向けレベル4(L4)自動運転EVの実現を目指すと発表しました。これにより、同社は「目も手も意識も離せる」真の“マインドオフ”ドライビングを可能にする市販車を2020年代後半に投入する計画です。
ルーシッドは、NVIDIAの自動運転向けプラットフォーム「DRIVE AGX Thor」を次期ミドルサイズ車に統合。2基の高性能AIコンピュータとカメラ、レーダー、ライダーを組み合わせたマルチセンサー構成を採用し、安全認証済みの「DriveOS」上で全自動運転機能を統合制御します。このアーキテクチャは完全冗長構造を持ち、L2++からL4までの進化をシームレスに実現できる設計です。
同社の自動運転開発は、2021年に「DreamDrive Pro」としてルーシッド・エアに初搭載されたADAS(先進運転支援システム)から始まりました。現在では、ハンズフリーレーンチェンジ(自動車線変更)などの機能をOTA(無線アップデート)で追加。今回のNVIDIAとの協業により、この技術をさらに拡張し、2026年以降に登場予定のSUV「グラビティ(Gravity)」や新型ミドルサイズEVで、真のL4自動運転を実現する計画です。
NVIDIA創業者でCEOのジェンスン・ファン氏は「クルマが“走るスーパーコンピュータ”へ進化する中で、AIがモビリティを再定義する」とコメント。ルーシッドの暫定CEOマーク・ウィンターホフ氏も「EV性能の基準を築いた次は、自動運転とAI製造で業界をリードする」と語りました。
製造面でもルーシッドは、NVIDIAの「Industrial AI Platform」と「Omniverse」を活用し、“ソフトウェア駆動型マニュファクチャリング”を推進。デジタルツイン技術により、工場全体を仮想空間で再現し、レイアウト検証やロボット経路の最適化、品質管理を事前に実行可能にします。さらにAIによるリアルタイム分析と自律ロボティクスを導入し、生産ラインの再構成、コスト削減、納期短縮を図るとしています。
ルーシッドはアリゾナとサウジアラビアの最先端工場で「Air」と「Gravity」を生産中であり、今後はNVIDIAとの提携により製造全体の知能化を進展させる方針です。今回の協業は、電動化に続く「AI×自動運転×スマート製造」という次のモビリティ革命を象徴する一歩と言えます。
【ひとこと解説】
レベル4(L4)自動運転とは、特定の条件下で車両が人の操作なしに自律走行できる高度な自動運転技術です。ドライバーはハンドル操作や監視を行う必要がなく、“目・手・意識を離せる”状態が実現します。たとえば高速道路や限定された都市エリアなど、システムが対応する環境では完全自動走行が可能です。ただし、対応外の状況では安全のために手動運転へ切り替える必要があります。自動車の完全自動化(レベル5)に向けた実用段階の技術です。














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