- 2025年9月28日、ピエモンテ州レヴィリアスコ・トリネーゼで第4回コンコルソ・デレガンツァ開催
- 80台のクラシックカーのうち20台以上がランチア、目玉は唯一無二の「フラミニア ロレイモ」
- 新世代「イプシロン Rally4 HF」と「Ypsilon HF」がブランド復活の象徴として登場
2025年9月28日、ピエモンテ州トリノ近郊の美しい丘陵地帯にあるレヴィリアスコ・トリネーゼの村で、第4回「コンコルソ・デレガンツァ フェスティバルカー」が開催されます。このイベントは2022年にスタートし、年を追うごとに規模と評価を拡大してきました。そして今年、ついにFIVA(国際クラシックカー連盟)のプレミアイベントとして公式認定を受け、名実ともに世界的なクラシックカーイベントの仲間入りを果たしました。当日は80台もの名車が集結し、そのうち20台以上をランチア車が占めるなど、ブランドの存在感が際立つ内容となっています。
今年の絶対的な主役とされるのが、1960年製「ランチア フラミニア ロレイモ」です。このクーペは、20世紀を代表する工業デザイナー、レイモンド・ローウィが自らの愛車として設計を依頼したもので、トリノのコーチビルダー、ロッコ・モットが製作。さらにナーディが技術協力を行い完成に至った、まさに一点物のモデルです。独特の「スマイル」グリルや空力的に先進的なボディラインは当時としては極めて革新的で、1960年のパリ・モーターショーでも大きな注目を集めました。ローウィ本人が欧米で実際に使用した後、アメリカのランチアクラブ会長の手を経てイタリアに戻され、現在はトリノの「ヘリテージハブ」に保存されています。今回はイベント公式ポスターのビジュアルとしても採用され、その存在感を改めて世界に示します。

一方で、未来のランチアを象徴するモデルとして登場するのが「イプシロン Rally4 HF」です。2024年初頭に発表されたこの競技車両は、FIAラリー4カテゴリーに準拠して開発され、212馬力を発生する1.2リッター直列3気筒ターボエンジンを搭載。SADEV製5速ギアボックスやメカニカルLSD、高剛性シャシーと軽量設計により、俊敏なコーナリング性能と高速安定性を兼ね備えています。さらに、オーリンズ製3ウェイ調整式ショックアブソーバー、330mmベンチレーテッドディスクブレーキ、ミシュラン製パイロットスポーツタイヤといった本格装備も採用。デビュー戦となったイタリア国内選手権では、ジャンアンドレア・ピサーニ/ニコラ・ビアジ組が「CIAR 2WD」王者とランチア・トロフィーを制し、1993年以来となる栄冠をブランドにもたらしました。
ランチアはこのRally4 HFを皮切りに、伝統の高性能モデルライン「HF」を復活させています。すでにフルEV版の「Ypsilon HF」(280PS、0-100km/h加速5.6秒)と、ハイブリッド仕様の「Ypsilon HF Line」が発表され、市販車にも展開。HFの赤いゾウのロゴが再び新世代モデルに刻まれ、ランチア再生の象徴となりつつあります。HFは単なる性能グレードではなく、モータースポーツを通じて技術革新を進め、若手ドライバー育成やブランドアイデンティティ強化を担う戦略的存在としても位置づけられています。
フェスティバルの一日は、モンカリエーリ王宮から出発する「ツール・デレガンツァ」で幕を開けます。ユネスコ世界遺産に登録された王宮前に80台が集まり、観客の見守る中トリノ丘陵の美しい景観を巡るパレードが展開。その後、レヴィリアスコ・トリネーゼに到着し、国際的に著名な審査員団が優雅さと個性を競う各車を評価します。審査員には、ステランティス・ヘリテージ部門責任者ロベルト・ジョリートら名だたる人物が名を連ね、世界的な自動車文化の価値を高める場となります。
「フラミニア ロレイモ」という過去の宝物と、「イプシロン HFシリーズ」という未来への挑戦。この2つを軸に展開されるコンコルソ・デレガンツァ フェスティバルカー 2025は、ランチアの歴史と革新を一度に体感できる特別な機会です。クラシックの魅力と最新のモータースポーツスピリットが融合するこのイベントは、ブランドの過去と未来をつなぐ象徴的な舞台として、多くの自動車ファンの記憶に刻まれるでしょう。
【ひとこと解説】
ランチア フラミニア ロレイモ(1960)は、20世紀を代表する工業デザイナー、レイモンド・ローウィが自身の愛車として設計した唯一無二のクーペです。製作はトリノのカロッツェリア、ロッコ・モットが担当し、ナーディが技術協力を行いました。特徴的な「スマイル」グリルや空力的に先進的なボディラインを備え、パリ・モーターショーで注目を浴びました。現在はトリノのステランティス・ヘリテージハブに保存される貴重な一台です。
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