- 60年の歴史を誇るオペルのコンセプトカー、新章は「コルサ GSE Vision Gran Turismo」
- 最高出力588kW(800馬力)、0-100km/h加速2.0秒、最高速320km/hの完全電動モデル
- 初めて「デジタルと現実」を融合し、グランツーリスモ7で体験可能
オペルは、9月8日から14日にかけてミュンヘンで開催されるIAAモビリティ2025で、待望の最新コンセプトカー「コルサ GSE Vision Gran Turismo」を世界初公開します。このモデルは、欧州自動車メーカーとして初めてコンセプトカーを世に送り出したオペルが築いてきた60年の歴史を背景に誕生した、極めて先進的な存在です。過去の挑戦を礎に、次のモビリティの姿を明確に提示する一台として、大きな注目を集めています。
オペルが初めてコンセプトカーを発表したのは1965年。当時フランクフルトで開催されていたIAAに登場した「エクスペリメンタルGT」は、ポップアップ式ヘッドライトやコークボトルシェイプと呼ばれる独創的な曲線を備え、従来の欧州デザインの枠を超える存在でした。メディアや観客から熱狂的な反響を呼び、わずか3年後には市販化を果たすという異例の成功を収めます。この一歩が、オペルのコンセプトカー文化の幕開けでした。
その後もオペルは革新を続けます。1969年にはラグジュアリークーペ「CD」を発表。ガラスファイバー製のボディやドアの代わりに採用されたキャノピー、電話機を備えたセンターコンソールなど、未来感あふれる装備で話題をさらいました。1983年には、コルサをベースに燃費性能を追求した「ジュニア」を発表。車重は650kgと軽量で、空気抵抗係数は0.31、燃費は100kmあたり4.0リットルという効率を実現しました。さらに、取り外して寝袋にできるシートカバーや持ち運び可能なオーディオ機器など、遊び心ある装備も盛り込まれています。
1993年に登場した「スキャンプ」は、現代のBセグメントSUVを先取りした存在です。高めの地上高と4人乗りの実用性を兼ね備え、荷室には自転車を安全に固定できるデバイスを備えるなど、アウトドア志向のライフスタイルに応える提案でした。続く2001年の「フロッグスター」は、電動アルミ製のロールシャッター式ルーフを採用し、1台でオープンカーやピックアップなど複数のスタイルに変身可能。さらに、当時先進的だったPDA(携帯情報端末)を使ってドアロック操作やルーフ開閉を行える仕組みも導入されました。
2011年には、電動モビリティの未来を身近にする「RAK e」を発表。2人乗りの軽量ボディにより最高速度120km/h、航続距離100kmを実現し、16歳から運転可能な都市型EVとして注目を集めました。その後の2013年IAAでは「モンツァ コンセプト」を披露し、車両間通信やLEDプロジェクションを活用した先進的なコネクティビティ技術を打ち出しました。近年では、2023年に「エクスペリメンタル」を発表し、初めて照明付きのオペル・ブリッツエンブレムを採用するなど、電動化とデザインの両立を明確に打ち出しています。
そして今回の「コルサ GSE Vision Gran Turismo」は、そうした歴史の延長線上にありながらも、全く新しいアプローチを取っています。それは、初めて「デジタルと現実の融合」をテーマとしたことです。IAAで実車が公開されると同時に、秋以降には世界的レーシングシミュレーター「グランツーリスモ7」で実際に走らせることが可能になります。これにより、ファンやゲーマーが現実のショーカーを仮想世界で体験できるという、これまでにない次元の楽しみ方を提供するのです。
パフォーマンス面でも圧倒的です。完全電動ながらシステム出力は588kW(800馬力)、最大トルクは800Nmを誇り、0-100km/h加速はわずか2.0秒、最高速度は320km/hに到達します。さらに、徹底的に練り込まれた空力デザインは視覚的にも魅力的で、オペルの高性能サブブランド「GSE」の象徴的存在となっています。
「コルサ GSE Vision Gran Turismo」は、オペルが小型車市場において革新を続ける姿勢を改めて示すと同時に、60年にわたるコンセプトカー開発の歴史を新しい次元へと導く一台です。過去から未来へと連なるビジョンを体現し、電動化とデジタル化を融合させたまったく新しい自動車体験を提示する存在として、世界中の注目を集めることは間違いありません。
【ひとこと解説】
オペルは1862年にアダム・オペルが創業したドイツの自動車メーカーで、1899年に自動車生産を開始しました。戦後は「カデット」「レコルト」などを通じて大衆車市場で成功を収め、特に1982年登場の「コルサ」は世界的ベストセラーとなり、累計1,400万台以上を販売しました。また、コンパクトから中型セダン、SUVまで幅広いラインアップを展開し、1990年代には年間販売台数が400万台を超えるなど欧州主要メーカーの一角を占めました。さらに1965年の「エクスペリメンタルGT」を皮切りに、数々の先進的コンセプトカーを発表し続け、現在は電動化とデジタル化を融合するブランドへと進化しています。
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