シュコダ Vision O発表。次世代「Modern Solid」デザイン、AIアシスタント搭載のサステナブルEVワゴン

  • 650リットル超の荷室容量と「Simply Clever」機能(ポータブルスピーカーや内蔵冷蔵庫)を装備
  • 新開発のHorizon DisplayやBio-Adaptive Lighting、AIアシスタント「Laura」など初採用の先進機能を搭載
  • 再生素材や植物由来素材を活用したサステナブル設計と、空力最適化による長距離走行性能を両立

シュコダは、ヨーロッパのエステート市場で長年リーダーシップを発揮してきた伝統を基盤に、新しい電動化時代を象徴するコンセプトカー「Vision O」を発表しました。オクタビアやスーパーブ・コンビの成功に裏打ちされたワゴンの歴史を継承しつつ、未来を見据えた「Modern Solid」デザイン言語の次世代モデルとして位置づけられています。Vision Oは単なるデザイン提案にとどまらず、顧客目線で「内側から外側へ」発想された初のコンセプトカーであり、機能性・快適性・持続可能性を高次元で融合させています。

最大の特徴のひとつが刷新されたインテリアです。従来のシュコダ車を大きく超えるシンプルかつ機能的な室内空間を構築し、横幅1.2m以上の「Horizon Display」をダッシュボード全面に配置しました。この横長ディスプレイは運転席と助手席の双方で視認・操作が可能で、情報を直感的に整理し表示。必要に応じて情報量を減らす「インフォディミング機能」や、タッチ操作に加え物理ダイヤルによる操作系を備え、安全性と操作性を両立しています。加えて新開発の「Bio-Adaptive Lighting」が自然光に応じて室内照明を調整し、乗員の体内リズムに寄り添う快適空間を演出します。

広大な荷室も見逃せません。標準状態で650リットル超を確保し、後席を倒せば1700リットル以上まで拡大可能。日常からアウトドアまで幅広い用途に対応します。また「Simply Clever」哲学を体現する新機能として、ポータブルBluetoothスピーカー、統合型冷蔵庫、スマートフォン向けワイヤレス充電ポッド、さらには充電ケーブル専用の収納スペースまで備わっています。利便性を徹底的に追求した点が、実用を重視するユーザーに強く訴えかけます。

テクノロジー面では、AIアシスタント「Laura」が大きな存在感を放ちます。ドライバーや乗員をサポートし、周辺情報の案内、会議のメモ取り、経路提案からエンターテインメントまで幅広い役割を担います。子供向けの「ストーリーテリングモード」も搭載され、乗車体験そのものを豊かにします。さらに「Tranquilモード」では座席配置をリラックス仕様に切り替え、照明や音楽も連動して安らぎの空間を創出。自動運転技術とも連動し、特定条件下では完全に運転を車に任せることが可能です。

サステナビリティもVision Oの大きな柱です。シートには100%リサイクルポリエステルを用い、独自のフラットニット製法により形状にぴったりフィット。ヘッドレストは「Ultrasint TPU」を用いた3Dプリント構造で、柔軟性と耐久性、快適性を兼ね備えています。さらに、65%が植物由来成分の「Ultrasuede NU」や、革端材をアップサイクルした「Nabore」フロア材なども採用。これらはモノマテリアル設計に基づき、廃棄後のリサイクルが容易で、循環型社会の実現に寄与します。

外観デザインも進化しています。全長4,850mm、全幅1,900mm、全高1,500mmという堂々たるサイズながら、空力を徹底的に追求。フロントには新開発の「Tech-loop」フェイスマスクを備え、発光式Škodaロゴと組み合わせた力強い印象を与えます。さらに、アクティブシャッターや空気を流すサイドチャンネル、リセストドアハンドル、空力ホイール、隠し式ワイパーなどを駆使し、長距離走行に適した効率を実現。ボディカラーは透明干渉顔料によって温かみのあるベージュからクールなブルーへと変化し、黒のルーフやアクセントと相まって未来的な存在感を演出します。

照明技術も刷新されました。前方には「Cyber Lights」と呼ばれる新しいライティングシステムを搭載し、フロントマスク全体に連続する光の演出を施しています。リアにはT字型のLEDランプとイルミネーションロゴを採用し、ウインカーや自動運転時のシグナルもアニメーションで表現。デザイン性と機能性を両立した光のシグネチャーは、Vision Oの大きな特徴のひとつです。

さらに、シュコダは「Vision O app」と名付けた新しいモバイルエコシステムを提示しました。荷室を事前に準備する「Loading Assistant」や、ウインドウ全面をスモーク化するリモート操作機能など、従来の車載システムの枠を超える体験を提供します。また既存の「MyŠkoda」アプリにはGoogle Geminiを活用したAIルートプランナーが導入予定で、充電ステーションやレストランを考慮した最適ルートを自動で提案。車外でもユーザー体験を拡張する取り組みが進められています。

シュコダのCEOクラウス・ツェルマー氏は「650リットルを超える荷室、AIアシスタント、自動運転技術を備えたVision Oは、持続可能性と快適性を融合した次世代ワゴンの姿です」とコメント。開発責任者やデザインチームも、明快さと落ち着きを重視した「Modern Solid」デザインの進化を強調しています。

Vision Oは、顧客の利便性と快適性、そしてサステナビリティを柱にした次世代EVワゴンとして、2030年代の量産化を視野に入れたプロジェクトです。エステートの伝統を受け継ぎつつも、最先端技術と環境配慮を組み合わせることで、新たな移動体験を提示する一台となっています。

【ひとこと解説】
Ultrasuede NU(ウルトラスエード・ニュー)は、シュコダ「Vision O」に採用された新素材で、従来の合成スエードを進化させたサステナブル素材です。全体の約65%が植物由来成分で構成されており、環境負荷を抑えながら高級感ある質感と耐久性を実現しています。表面には透明コーティングと雲母パール顔料が施され、光の当たり方によって微妙に色調が変化するのが特徴です。ダッシュボードや座席など広範囲に使用され、デザイン性と環境配慮を両立しています。

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