- 2000年IAAでデビュー、2002年と2021年に「インターナショナル・バン・オブ・ザ・イヤー」受賞
- 初代は独自の“ジャンボルーフ”で快適性と実用性を両立、2010年には電動化の先駆け「ヴィヴァーロ e-コンセプト」を発表
- 2024年モデルは最新デザイン「オペル・ヴァイザー」を採用し、EVとディーゼル双方を展開
オペルの代表的な商用バン「ヴィヴァーロ」が、2025年で誕生25周年を迎えました。2000年に開催されたIAA商用車ショーで初披露され、翌2001年に発売を開始したヴィヴァーロは、オペルのLCV(ライト・コマーシャル・ビークル)事業を大きく拡大させる存在となりました。デビュー直後からその革新的なデザインと高い実用性で注目を集め、2002年には早くも「インターナショナル・バン・オブ・ザ・イヤー」を受賞。さらに2019年以降の電動モデルを経て、2021年にも同賞を獲得するなど、商用車の世界的ベストセラーとして確固たる地位を築いています。

初代ヴィヴァーロは、当時として画期的な“ジャンボルーフ”を備えていたことが特長です。ドーム状のキャビンにより、前席乗員のヘッドルームを広げただけでなく、乗降性を高めることで配送業や宅配ドライバーにとって実用的な設計となっていました。全長の異なる2種類のホイールベース(3,098mmと3,498mm)、パネルバン、コンビ、プラットフォームシャシーといった多彩なボディバリエーションを用意。短いホイールベースでも5㎥の荷室を確保し、長いタイプでは約6㎥に達し、3つのユーロパレットを搭載できる大容量を実現しました。ディーゼルエンジンを搭載し、6速MTを標準とした走行性能は乗用車並みと高評価を受けています。
安全性と快適性の両立もオペルらしいこだわりでした。4輪ディスクブレーキや電子制御ABS、全席3点式シートベルトを標準装備し、オプションで助手席エアバッグやサイドエアバッグを用意。加えて、当時の商用車には珍しくナビゲーションやCDチェンジャーなど、乗用車同等のインフォテインメントを備えていたのも魅力です。こうした総合力が、2002年の「インターナショナル・バン・オブ・ザ・イヤー」受賞へとつながりました。
オペルはこのモデルにとどまらず、将来を見据えた様々なコンセプトモデルを発表してきました。2001年には高級素材や回転シートを備えた「ヴィヴァーロ コンセプト V」を公開し、ビジネスラウンジ的な使い方を提案。2007年の「ヴィヴァーロ VPC」ではスポーティさを強調し、2015年の「サーフコンセプト」ではサーフボードを積載できるアウトドア志向の仕様を提示しました。そして2010年の「ヴィヴァーロ e-コンセプト」では、航続400km超を目指す電動パネルバンを披露。151PSのモーターと750kgの積載能力を備え、環境配慮型商用車の将来像を明確に打ち出しました。
2014年まで生産された初代の後継として、2代目「ヴィヴァーロB」が同年に登場。さらに2019年には第3世代となる「ヴィヴァーロC」が誕生し、ここで初めて量産型EVを追加。50kWh(WLTP航続230km)と75kWh(同330km)のバッテリーを選べる仕様で、実用性を損なわない電動商用車として登場しました。この電動版も高評価を受け、2021年に再び「インターナショナル・バン・オブ・ザ・イヤー」を受賞する快挙を果たしました。
そして2024年、最新世代ヴィヴァーロは大幅な進化を遂げています。ブランドの新しい顔「オペル・ヴァイザー」を初採用し、従来の商用車の枠を超えたモダンなデザインを実現。2種類の車体長(4.98mと5.33m)を用意し、最大6.6㎥の荷室と約1.4トンの積載能力を確保しています。パネルバンやダブルキャブ、シャシー仕様など多彩なバリエーションにより、配送から旅客輸送まで幅広い用途に対応します。
また、18種類もの先進運転支援システムを搭載。ダイナミック・サラウンドビューによる安全確認、10インチのデジタルメーターとタッチスクリーンを備えた最新インフォテインメントで、乗用車に匹敵する快適性と利便性を実現しました。EVモデルは引き続き2種類のバッテリーサイズを展開し、日常業務から長距離輸送まで柔軟に対応。ディーゼルエンジンもラインナップし、多様なニーズを満たしています。
25年間にわたり、オペル・ヴィヴァーロは常に「革新」と「実用性」を両立させて進化してきました。配送の現場からレジャー用途まで、多彩なニーズに応える万能バンであり続ける存在。2024年モデルは、その歴史を継承しつつ、未来を見据えた新たなスタンダードを提示しています。ヴィヴァーロはこれからも商用車市場において強い存在感を放ち続けるでしょう。
【ひとこと解説】
オペル・ヴァイザーは、同社の最新デザイン言語を象徴するフロントフェイスです。横一文字に配された光沢パネルでフロントマスクをまとめ、ヘッドライトやブランドエンブレムを一体的に配置することで、シンプルかつ未来的な印象を与えます。このデザインは乗用車から商用車まで共通して採用され、ブランドの統一感を強調。空力性能や先進運転支援システムのセンサー類をスマートに収める役割も担い、機能性と美しさを両立した革新的なフロントデザインです。
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