- コンセプトAMG GT XXが最大1,041kW、0.5秒で1MW充電を達成
- 2.5分間にわたり1,000kWを維持、わずか1分で125km相当を充電
- AMG独自のF1由来バッテリー技術とAlpitronicとの共同開発インフラが実現
メルセデスAMGはIAAモビリティ2025にて、コンセプトカー「AMG GT XX」による画期的な急速充電記録を発表しました。試作CCS充電ステーションにて、最大1,041kWという前例のない充電出力を実現。開始から0.5秒で1メガワットに到達し、約2分半にわたり1,000kWを維持しました。特別開発された液冷式CCSケーブルを通じて最大1,176アンペアが流れ、1分間で17.3kWhを充電。WLTP換算で125kmの走行距離に相当します。

この成果を支えるのが、アファルターバッハで新規開発されたF1由来の高性能バッテリーです。円筒型NCMAセルはエネルギー密度300Wh/kg超を誇り、導電性に優れたアルミ製セルハウジングを採用。3,000以上のセルを非導電性オイルで直接冷却するシステムにより、均一な温度管理と高い持続性能を実現しました。さらに800V超の高電圧システムが軽量化と短時間充電を後押ししています。
充電インフラ面でも革新が進みました。Alpitronic社との協力により、大型車両向けMCS充電技術を基盤としつつ、スリムなCCSケーブルで安全に大電流を供給可能なプロトタイプを開発。これにより、次世代の高性能急速充電器が2026年以降、欧州と北米のメルセデス充電パークに導入される予定です。
コンセプトAMG GT XXは走行性能のみならず、充電技術でも限界を突破。メルセデス・ベンツが掲げる「車とインフラの最適統合」による電動化の未来を力強く示しました。
【ひとこと解説】
Alpitronic(アルピトロニック)は、イタリア・ボルツァーノに本拠を置く急速充電器メーカーで、欧州を中心にEVインフラ分野で急成長している企業です。代表的製品「Hypercharger」シリーズは最大出力400kWに対応し、高効率・信頼性の高さから多くの充電ネットワークで採用されています。自社開発の電力変換技術と液冷システムを強みとし、自動車メーカーやエネルギー事業者と連携。次世代メガワット級充電にも取り組み、商用車や高性能EV向けの充電インフラをリードしています。
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