リマック・テクノロジー、IAAモビリティ2025で次世代ソリッドステート電池と新型Eアクスルを公開

  • ProLogiumと三菱ケミカルグループと共同開発したソリッドステート電池を発表、軽量・高安全性・高エネルギー密度を実現
  • 新世代eアクスル「SINTEG 300/550」は8kW/kg超のパワー密度、90Nm/kg超のトルク密度を誇り、新たな業界基準を打ち立てる
  • 95,000㎡超の生産拠点を活用し、大規模量産体制を確立。自動車メーカー向けティア1サプライヤーとしての地位を強化

クロアチアのリマック・テクノロジーは、ミュンヘンで開催されたIAAモビリティ2025において、次世代バッテリーとパワートレインの最新ポートフォリオを発表しました。今回の目玉は、固体電池(ソリッドステートバッテリー)技術を中心とした新型バッテリープラットフォームと、超高性能かつ小型の次世代eアクスル群です。これらの技術は単なるコンセプトではなく、量産を前提とした実用的なソリューションとして開発されており、今後数十万台規模の電動車両に搭載される予定です。

バッテリー分野では、まず「Next-Gen Technology」として、ProLogium社のソリッドステートセルと三菱ケミカルグループの先端材料を統合した新システムが登場しました。この電池は従来型を大きく上回るエネルギー密度と安全性を実現し、軽量化にも貢献します。続いて「Evo Technology」は、46XX Gen2 NMCセルを採用し、Kautex Textronと共同開発した熱可塑性複合材ハウジングを採用。即戦力となる次世代高性能バッテリーとして量産に直結します。さらに「Hybrid Technology」では、46XXセルを用いた高エネルギーパックと2170セルを用いた高出力パックを両立させ、柔軟な構成と優れた熱管理を実現しました。

パワートレイン部門では、「SINTEG 300」と「SINTEG 550」が公開されました。これらは単一モーター構成の超小型・高集積eアクスルで、パワー密度8kW/kg以上、トルク密度90Nm/kg以上という驚異的な数値を達成。最大25,000rpmまで回転可能な超軽量ローターや革新的な磁石設計を採用し、150~360kW、2,500~6,250Nmという幅広い出力帯をカバーします。小型車からSUVまで幅広く対応可能で、そのサイズは「キャリーオンラゲージに収まるほど」と表現されました。

さらに、2026年に量産開始予定の「High Torque XXL Axle」も発表。デュアルモーター構成のEDU 550 eアクスルは、11,000Nmを超えるアクスルトルクと95%以上の効率を実現し、大手自動車メーカーのグローバルモデルに採用される見込みです。

エレクトロニクス分野では、NXPの最新S32E2リアルタイムプロセッサを搭載した次世代ECU群を披露。従来の複数ECUを統合し、ドメイン/ゾーンコントローラ化することで、ソフトウェア定義車(SDV)への移行を加速します。これによりコストや重量を削減しつつ、トルクベクタリングや高電圧バッテリー管理、車体制御などを高い安全性とリアルタイム性で実行。OTAアップデートにも対応し、自動車メーカーに柔軟なプラットフォームを提供します。

こうした革新的な技術群は、ザグレブ近郊にあるリマックの最先端生産施設で製造されます。総面積は95,000㎡を超え、2億ユーロ以上が投じられた「Rimac Campus」を中核とする体制により、大量生産と高い品質を両立。複数の大規模プロジェクトを同時並行で支える能力を備えています。

リマック・テクノロジーCOOのヌルディン・ピタレビッチ氏は次のように述べています。「今回IAAで披露した技術は、革新性と量産適合性の融合です。単なる実験段階ではなく、今後数年で数十万台の車両に搭載される準備が整っています」。

リマックは近年、BMWグループやポルシェ、CEERモーターズといった世界的OEMとの提携を相次いで発表しており、今回の新技術群はその協力関係をさらに深化させるものです。IAA会場のホールA1・C-22ブースでは、リマックの開発チームが詳細な技術解説やパートナーシップの相談に応じており、同社が自動車産業の電動化をリードする存在であることを強く印象づけました。


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