新世代BMW iX3、航続805km・400kW急速充電対応のSAVは何がすごい?

  • 航続最大805km、400kW急速充電対応で長距離移動性能を刷新
  • 新電子アーキテクチャ「4つのスーパーブレイン」と新世代Panoramic iDrive初採用
  • 生産時から循環型素材を導入し、ライフサイクルCO₂排出を34%削減

BMWが発表した新型iX3は、同社の次世代プラットフォーム「ノイエ・クラッセ」初の量産モデルとして登場しました。フル電動SAVとして設計され、第6世代BMW eDrive技術により航続距離は最大805km(WLTP)、最高出力は469ps、最大トルクは645Nm、0-100km/h加速は4.9秒、最高速度210km/hを実現します。新開発の高電圧バッテリーは108.7kWhの有効容量を持ち、800Vアーキテクチャ採用で400kWの急速充電に対応。10分間で最大372kmの走行分を補充でき、10〜80%の充電も21分で完了します。

さらに注目すべきは、BMW初となる双方向充電機能の搭載です。Vehicle-to-Loadでは外部機器に電力を供給でき、Vehicle-to-Homeでは家庭用蓄電池として機能、さらにVehicle-to-Gridでは電力市場に参加し収益を得ることも可能です。これにより自動車の役割は「移動手段」から「エネルギー資産」へと拡大しました。

車両デザインは新世代BMWデザイン言語を導入。全長4,782mm、全幅1,895mm、全高1,635mmとSAVらしいプロポーションを持ちながら、Cd値0.24という空力性能を達成しています。ラゲッジ容量は520〜1,750L、さらにフロントに58Lの収納を確保。牽引能力も最大2,000kgと実用性も十分です。外観は新しい縦型キドニーグリルや新ライトシグネチャーを採用し、強い存在感を放ちます。

インテリアは電動車専用設計で広い空間を確保。新型「BMW Panoramic iDrive」を初搭載し、フロントガラス全面に情報を映す「Panoramic Vision」、立体表示可能な3Dヘッドアップディスプレイ、そしてマトリクスバックライトを備えたセンターディスプレイを組み合わせ、直感的で没入感のある操作環境を提供します。さらにBMWインテリジェント・パーソナル・アシスタントが強化され、AIを活用した音声対話が可能となります。

電子アーキテクチャには4基の高性能コンピューター「スーパーブレイン」を搭載し、駆動制御、運転支援、インフォテインメント、快適機能を統合。特に「Heart of Joy」は駆動・ブレーキ・回生を統合制御し、98%の制動を回生のみで処理する高効率化を実現しました。自動運転支援も進化し、高速道路では長時間のハンズオフ走行が可能で、都市部では信号検知による自動発進停止まで対応します。

持続可能性の面でも大きな進化を遂げました。ライフサイクル全体でのCO₂排出は先代比34%削減。車両の約3分の1にリサイクル素材を使用し、PET由来繊維や海洋プラスチックを活用。アルミニウム部品には最大80%の再生材を採用しています。製造拠点のハンガリー・デブレツェン工場は化石燃料を使わない運営を行い、BMWの循環型社会へのコミットメントを象徴しています。

新型iX3の生産は2025年秋から開始し、欧州では2026年春、米国では夏に発売予定。中国向け専用モデルも同年夏から供給されます。BMWは2027年までに40の新型・改良モデルにノイエ・クラッセの技術を展開すると発表しており、iX3はその先駆けとなります。電動化・デジタル化・サステナビリティを融合させた新世代BMWの象徴として、新型iX3は「次世代の駆けぬける歓び」を体現するモデルです。

【ひとこと解説】
BMWの「ノイエ・クラッセ」は、2025年以降の新世代モデルに採用される次世代プラットフォームです。第6世代eDrive技術や800Vアーキテクチャを基盤に、航続性能・充電速度・効率を大幅に向上。4つの高性能コンピューター「スーパーブレイン」による高度な電子制御と最新ソフトウェア体系を備え、電動化・デジタル化・循環型素材活用を統合するのが特徴です。BMWの未来戦略を象徴する基盤で、2027年までに40以上の新モデルへ展開予定です。

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