極寒が鍛える1800馬力。ブガッティ「トゥールビヨン」、北極圏で完成度を磨く

・氷雪の北極圏で挑む究極の走行性能検証
・1800馬力ハイブリッドを統合する精密制御技術
・V16自然吸気と3モーターが描く新時代の操縦体験

フランス・モルスハイムを本拠とするブガッティが、新型ハイパーカー「トゥールビヨン」の極寒テストの模様を公開しました。舞台となったのは、スウェーデン北部アルイェプローグに位置するコルミス・プルービンググラウンドです。氷と雪に覆われたこの地域は、自動車メーカー各社が冬季開発試験を行うことで知られていますが、今回の主役は総出力1800HPを誇る次世代ブガッティでした。

トゥールビヨンは、ブガッティが新時代を切り拓くモデルとして開発したハイパーカーです。完全新設計のプラットフォームを採用し、自然吸気V16エンジンに3基の電動モーターを組み合わせたハイブリッドシステムを搭載。圧倒的なパフォーマンスと電動化技術を融合した、新世代のフラッグシップとして位置づけられています。

今回のスウェーデンでの試験では、最低気温がマイナス30℃に達する過酷な環境下で、さまざまな車両制御システムの検証が実施されました。評価対象となったのは、HVAC(空調)システム、ABS、ESC(横滑り防止装置)、トラクションコントロール、ブレーキ制御、車両運動性能など多岐にわたります。氷上、圧雪路、シャーベット状の雪、さらには乾燥アスファルトまで、路面状況が刻々と変化する中でテストが行われました。

ブガッティ・リマックのチーフ・デベロップメントドライバーであるミロスラブ・ズルンチェビッチ氏は、「ハイパーカーは雪道を走るためのクルマではない。しかし、どのような天候でも完璧に機能しなければ、それはブガッティではない」とコメントしています。ブランドが求めるのは単なる最高速性能ではなく、あらゆる環境下でドライバーに絶対的な信頼感を与える完成度です。

特に注目されるのが、トゥールビヨンの先進的な四輪駆動システムです。前輪には2基の電動モーターを搭載し、高度なトルクベクタリング制御を実現。一方、後輪側には自然吸気V16エンジンと第3の電動モーターが組み合わされ、状況に応じて最適な駆動力を配分します。1800HPという圧倒的な出力を、氷上でもドライバーが自在に扱えるようにするため、電子制御システムと機械制御が緻密に連携しています。

さらに、複数のドライブモードによるキャラクター変化も特徴です。コンフォートモードでは安定性と安心感を重視し、低グリップ路面でも穏やかな挙動を維持します。スポーツモードではよりニュートラルなバランスとなり、俊敏性とエンジンの存在感が強調されます。そしてトラックモードでは、後輪寄りのトルク配分と大きなスリップ許容によって、よりアグレッシブでダイナミックな挙動を実現。それでもESCやトラクションコントロールは常に連携し、ブガッティらしい精密なコントロール性を維持します。

開発チームは約20人規模で構成され、そのうち6人のコアメンバーが昼夜2交代制で4週間にわたり試験を担当しました。限られた冬季テスト期間を最大限に活用するため、夜間走行も実施。オーロラが輝く北極圏の夜空の下、トゥールビヨンは氷雪路でデータ収集と熟成を重ねました。

ブガッティは今回の検証を通じて、デザインやクラフトマンシップだけでなく、目に見えない制御技術においても究極の完成度を追求しています。自然吸気V16と先進ハイブリッド技術を融合したトゥールビヨンは、ブランドの新時代を象徴する存在として、着実に完成へと近づいています。

【ひとこと解説】
コルミス・プルービンググラウンド(Colmis Proving Ground)
は、スウェーデン北部・アルイェプローグ近郊に位置する冬季試験専用の自動車テスト施設です。北極圏に近い地理条件により、毎年11月頃から春先まで安定した氷点下環境が続き、氷結湖面コースや圧雪路、低ミュー路を使った車両評価が可能です。自動車メーカーやタイヤメーカーが、ABS・ESC・AWD制御、電動車の熱マネジメント、タイヤ性能などを検証するために利用しており、世界的な冬季テスト拠点として知られています。広大な敷地には高速周回路、ハンドリングコース、スキッドパッドなどが整備され、プライバシー確保も徹底されているため、次世代モデルの開発にも適した環境を提供しています。

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