ついに“ハンズオフ時代”本格到来!BMW、ドイツ初の「DCAS」認証取得で次世代運転支援を欧州展開へ

  • BMWグループがドイツの自動車メーカーとして初めて「DCAS(運転制御支援システム)」国際認証を取得
  • 新型BMW iX3にレベル2「ハンズオフ」機能付きモーターウェイ・アシスタントを搭載
  • 視線での車線変更、都市型アシスト機能、シンビオティック・ドライブ技術を採用

BMWグループは2025年10月30日、新世代の運転支援技術に関して、国連規則第171号「DCAS(Driver Control Assistance Systems)」に基づく国際認証をドイツの自動車メーカーとして初めて取得したと発表しました。対象車は新型「BMW iX3」で、これにより欧州各国での“レベル2 ハンズオフ運転支援”が正式に解禁されます。

この認証は、革新的なレベル2運転支援システムを対象とした国際基準で、安全性を最重視した設計が条件。BMWはこれをもとに、同社の新世代EV「ノイエ・クラッセ(Neue Klasse)」シリーズに、より高度な支援機能を展開していく方針です。

今回承認された「モーターウェイ・アシスタント」は、最高130km/hまでの高速走行時にステアリングから手を離したまま走行が可能。ドライバーは注意を維持しながら、車線維持や自動車線変更をシステムに委ねられます。さらに、BMWマップと連動したルート案内により、分岐や出口での車線変更も事前に提案。ドライバーがウィングミラーを見るだけで確認動作となり、自動で車線変更が完了します。これにより、高速道路の分岐や出口でも途切れず支援が継続され、より自然で安心感のある運転が実現しました。

この「モーターウェイ・アシスタント」は、2023年の現行5シリーズで初採用された技術を進化させたもので、従来は連邦自動車局の特別承認が必要でした。しかし今回のDCAS認証により、特例ではなく正式に欧州全域および他のECE加盟国で提供が可能になります。

さらにBMWは「シンビオティック・ドライブ(Symbiotic Drive)」という新しい思想を導入。車両とドライバーが常に協調して走行を制御する設計で、システム作動中でもドライバーが軽くステアリングやブレーキを操作すれば即座に反応。アシストを解除せずに意図的な介入ができる点が特徴です。新型iX3では世界初の「シンビオティック・ブレーキ」も採用され、ドライバーの操作意図とAI制御を融合させることで、滑らかで安全な挙動を実現しています。この技術に関連する特許はBMWグループで20件以上出願済みです。

また都市部向けには、「シティ・アシスタント」が信号停止・再発進を自動で行う機能を導入。今後はソフトウェアアップデートにより、さらに高度な都市走行支援機能も追加予定です。

BMWドライビングエクスペリエンス開発担当SVPのミヒアル・アユビ博士は、「我々の運転支援は人と機械の“共生(symbiotic)”を目指している。AIとルールベース制御を組み合わせ、常に安全かつ予測可能な挙動を保つ」と述べています。

このDCAS認証取得により、BMWは“ハンズオフ”走行を法的に裏付けた初のドイツメーカーとなり、未来の自動運転に向けた大きな一歩を踏み出しました。

【ひとこと解説】
レベル2運転支援システムとは、自動車が「加速・減速・ステアリング操作」を同時に支援できる高度な運転支援技術を指します。ただし、完全自動運転ではなく、ドライバーが常に運転の主体であり、周囲の状況を監視して必要に応じて操作介入する義務があります。代表的な機能としては、車線維持支援、アダプティブクルーズコントロール、渋滞時のハンズオフ支援などがあります。快適性と安全性を高めつつ、自動運転への橋渡しとなる技術段階です。

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