未来へ跳躍する美。ブガッティ・トゥールビヨンが描く“芸術と性能の融合”

・ブガッティ・トゥールビヨンは115年の伝統を継承しつつ、次世代デザイン哲学を具現化
・アイコニックな「ホースシューグリル」や「センターライン」など、ブランドDNAを再構築
・機能と造形を融合させた革新的なエクステリアは、V16エンジンと新構造を調和
ブガッティの新世代ハイパーカー「トゥールビヨン」は、115年以上にわたる伝統と革新の精神を融合させた象徴的モデルです。チーフ・エクステリアデザイナー、ヤン・シュミッド氏が率いるチームは、「ブガッティとは何か、そして未来のブガッティはどうあるべきか」という命題に挑みました。その答えが、ブランドのデザインDNAを進化させたこの“新時代の造形”に凝縮されています。
フロントには、従来より低くワイドに構成されたホースシューグリルが鎮座。EUナンバープレートを無理なく収める精密な造形を保ちながら、空力性能と剛性を両立しています。中央にはセンターラインが走り、かつてのタイプ57 SC アトランティックのリベット構造を想起させつつ、現代では第3ブレーキランプとして機能的に進化。さらに、Aピラーから伸びる流麗なブガッティ・ラインがキャビンを包み込み、サイドへと跳ね上がることで“前進する印象”を生み出します。
サイドビューは“コークボトル”シェイプを強調し、軽やかさと力強さを共存。シャシー構造の最適化により、先代シロンとほぼ同じサイズながら、前輪電動アクスルや空力ダクトを内包しつつも、より低い車高と広いラゲッジ容量を実現しています。
注目すべきはヘッドライトの配置です。小型化されたユニットは「フライングフェンダー」にマウントされ、前方のエアを下から上へ導くことでサイドラジエーターを冷却。デザインと空力が完全に融合しています。リアにかけては、フェンダーが滑らかにデッキへ流れ込み、必要時のみ展開するアクティブリアウィングを装備。中央のブガッティロゴ入り一体型LEDテールライトは124個の発光素子で構成され、彫刻のような立体感を放ちます。
また、後部には自然吸気V16エンジンの巨大なプレナムチャンバーが覗き、機械の美しさをそのまま造形として見せる設計に。リヤディフューザーはシート後方から始まり、効率的に気流を後方へと排出する役割を担います。
シュミッド氏は「最も誇りに思うのはリアフェンダーの造形です。ヴェイロンの堂々たる曲面を継承しつつ、さらに力強さと筋肉感を加えた」と語ります。
トゥールビヨンは、ブガッティが掲げる「フォーム(造形)・ファンクション(機能)・フューチャー(未来)」の三位一体哲学を体現した存在です。デザインとエンジニアリングが完璧に調和し、アートとしての美と、マシンとしての性能が一体となる──まさに“走る彫刻”というブガッティの本質を次の時代へと導く1台です。
【ひとこと解説】
ヤン・シュミッド(Jan Schmid)は、ブガッティのチーフ・エクステリアデザイナーとして活躍するスイス出身のデザイナーです。フォルクスワーゲングループ内で経験を積み、2020年代以降のブガッティ新世代モデルのデザインを主導。伝統と革新を融合させる手法に定評があり、特に「トゥールビヨン」ではブランドの象徴であるホースシューグリルやセンターラインを再解釈しました。造形美と機能性を両立させる“エンジニアリングとしてのデザイン”を信条としています。

	









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