BMW、ディーゼルの脱炭素化へ新提案!再生燃料「HVO100」専用デモフリートを欧州で始動

  • BMWが「HVO100専用ディーゼル車」デモフリートを欧州で展開開始
  • HVO100は化石燃料に代わる再生可能燃料で、CO₂排出を最大90%削減
  • 2025年以降、ドイツ生産の全ディーゼル車がHVO100で初回充填

BMWグループは2025年10月22日、ルクセンブルクで開催された「Fleet Europe Days」において、再生可能燃料によるフリート脱炭素化を目指す新たな取り組みを発表しました。電動化モデルに加え、再生原料を基にした代替ディーゼル燃料「HVO100(Hydrotreated Vegetable Oil 100%)」の導入を加速させるため、HVO100専用のデモフリートを欧州で展開します。

このプログラムでは、車両の給油データとフリート事業者の支払いシステムを連携させることで、HVO100燃料のみが使用されていることをデジタルで追跡・証明可能。これにより、企業顧客は「HVO100 only fleet(HVO100専用フリート)」を構築し、CO₂排出量の可視化と削減効果の証明を行うことができます。

BMWグループ パワートレイン開発責任者のマルティン・カウフマン博士は、「HVO100は既存のディーゼル車で即時にCO₂削減を実現できる現実的なソリューションです」と述べ、また欧州販売責任者ベルンハルト・クント氏も「長距離走行や牽引など、ディーゼルの特性を生かしながら環境負荷を減らす手段として有効」と強調しました。

すでにドイツとイタリアの大規模ディーゼルフリート運営企業との契約が進行中で、BMW社内でも先行運用が開始。これらの実証データは今後の技術改良と市場導入に反映される予定です。

さらにBMWは、2025年1月以降にドイツで生産される全ディーゼル車において、初回出荷前にHVO100燃料を充填しています。使用されるのはフィンランド企業ネステ(Neste)社の「Neste MY Renewable Diesel™」で、化石燃料比で最大90%のCO₂削減(Well-to-Wheel)を実現。工場ごとの初回充填量はモデルに応じて5〜8リットルです。

BMWは「技術的中立性(Technological Openness)」を理念とし、電気・ハイブリッド・水素・内燃機関の全方位戦略を継続。HVO100、B10、eFuelなど複数の再生可能燃料を正式に認可済みで、EN590およびEN228規格に準拠しています。

一方で、BMWは欧州規制当局に対し、再生燃料をCO₂削減手段として正式にEUフリート法規に組み込むことを要求。特に2025年までに温室効果ガス排出を30%削減する「RED III(再生可能エネルギー指令)」の迅速な国内法化を求めています。

BMWグループ サステナビリティ責任者トーマス・ベッカー博士は、「車両のライフサイクル全体でCO₂削減を考慮すべき。CO₂ニュートラル燃料(CNF)を使用する車両も正式に評価対象とする必要がある」とコメントしました。

BMWの「HVO100フリート」構想は、既存車両を活かした現実的な脱炭素化アプローチとして、欧州モビリティの移行期における新たな選択肢を提示しています。

【ひとこと解説】
RED III(Renewable Energy Directive III)は、欧州連合(EU)が2023年に採択した「再生可能エネルギー指令」の第3次改正版です。2030年までにEU全体の最終エネルギー消費に占める再生可能エネルギーの比率を42.5%以上(目標45%)に引き上げることを定めています。運輸分野では、温室効果ガス排出量を少なくとも30%削減することを義務化。電力・暖房・産業・交通など各分野で再エネ利用を拡大し、持続可能な燃料(HVOやeFuelなど)の導入を促進する欧州の脱炭素政策の中核を担う指令です。

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