ルノー5ターボ3E、ツール・ド・コルスで初走行披露。555馬力の電動“ミニスーパーカー”が伝説のラリーに帰還

ルノー5ターボ3Eがツール・ド・コルスで初の一般走行を実施、往年の伝説を電動で再現
555馬力・0-100km/h加速3.5秒・航続400km超の本格EVスーパーカー
1,980台限定、価格16万ユーロで予約受付中。1980年の初代発売年にちなんだ限定数

ルノーは伝説的なツール・ド・コルス・ラリーで、新型「ルノー5ターボ3E(Renault 5 Turbo 3E)」の初の一般走行を披露しました。本イベントは1985年にジャン・ラニョッティがマキシ5ターボで優勝してから40周年を迎える節目に開催され、同車はその輝かしいモータースポーツの遺産を現代に電動で蘇らせるものです。

この「ルノー5ターボ3E」は、1980年代に名を馳せたルノー5ターボおよびターボ2をベースに、最新の電動技術で再構築した“ミニ・スーパーカー”。アルピーヌのエンジニアによって開発され、全長4.08m・全幅2.03mというコンパクトなボディに、驚異の555馬力(2×204kW)を発生するリア独立ホイールモーターを搭載します。最大トルクは4,800Nmに達し、0-100km/h加速は3.5秒未満。43:57の理想的な前後重量配分と2.5のパワーウエイトレシオが、ラリー由来の俊敏なハンドリングを支えています。

車体はアルミ製プラットフォームをベースに、バルクヘッド上部やフロア部にカーボン素材を使用した軽量高剛性構造。上部カーボン構造体だけで重量100kg未満、車両総重量はわずか1,450kgに抑えられています。電源系は800Vアーキテクチャを採用し、70kWhバッテリーと最大330kW対応のDC急速充電器を搭載。15分で15〜80%の充電が可能で、WLTP航続距離は400km超を誇ります。

デモ走行はコルシカ島カルヴィ港で行われ、ノートルダム・ド・ラ・セラ、モンテグロッソといった伝統のスペシャルステージでもドリフト走行を披露。ルノーのアンバサダーであり、ラリー・ドライバーのジュリアン・ソニエがステアリングを握りました。彼は「加速は速度を上げても衰えず、ブレーキは強力でコントロール性も抜群。ドリフトも自在に操れる。まさに“電動ラリーモンスター”だ」と語り、観衆からは大きな喝采が送られました。

展示車は2台のプロトタイプが用意され、それぞれ黒・黄・白のツール・ド・コルス仕様と、赤・青・白のマキシ5ターボ1985年優勝カラーを纏って登場。往年のラニョッティ号を現代の電動テクノロジーで再現したその姿は、クラシックファンとEV愛好家の双方を魅了しました。

ルノー・グループのイノベーションディレクター、フィリップ・ヴァレ氏は「スーパーカーの技術を投入した真の“ミニスーパーカー”だ。軽量アルミとカーボン構造、新開発の電動駆動系、独立制御モーターなど、全てが刺激的な挑戦だった」とコメント。開発はアルピーヌ技術陣によってタイトなスケジュールの中で進められたといいます。

予約受付はすでに2025年4月22日から開始され、価格は16万ユーロ(約2,560万円)から。ヨーロッパ、イギリス、中東、日本、オーストラリア市場で展開され、限定1,980台が販売されます。この台数は1980年の初代ルノー5ターボ誕生年にちなんだもの。予約時には5万ユーロのデポジットを支払い、車両番号の指定も可能です。

2026年にはカスタマイズプログラムが開始され、オーナーは往年のラリーマシンカラー(ルージュ・グルナード、イエロー×ホワイト×ブラックなど)や、独自の内外装仕上げを選択できます。シート、ドアパネル、ダッシュボードの素材やカラーも自由に組み合わせられ、「自分だけの5ターボ3E」を作り上げることが可能です。

最初の納車は2027年前半を予定。ルノー5ターボ3Eは、クラシックラリーの伝統と電動パフォーマンスを融合させた新世代の象徴として、モータースポーツの歴史に再び名を刻もうとしています。

【ひとこと解説】
マキシ5ターボ(Renault 5 Maxi Turbo)は、1980年代に登場したルノー5ターボの最終進化型で、グループBラリーに参戦した高性能マシンです。1.4リッター直列4気筒ターボエンジンは最高出力350〜380馬力を発生し、後輪駆動と軽量ミッドシップ構造により抜群のコーナリング性能を実現しました。1985年のツール・ド・コルスではジャン・ラニョッティが優勝を果たし、フランス車の象徴的ラリーカーとして今も高く評価されています。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次