ランボルギーニ「チェントロ・スティーレ」。20年の創造力が導く未来のデザイン哲学

ランボルギーニのデザイン拠点「チェントロ・スティーレ」が設立20周年を迎え、未来へのビジョンを発表
新コンセプト「マニフェスト(Manifesto)」がブランドの次世代デザイン言語を提示
多国籍チームとAI活用により、伝統と革新を融合した新しいランボルギーニ像を追求

イタリア・サンタアガタ・ボロニェーゼに拠点を置く「チェントロ・スティーレ・ランボルギーニ(Centro Stile Lamborghini)」は、ブランドの未来を形づくるデザインの中枢として20周年を迎えました。2005年の本格稼働以来、ムルシエラゴ、ガヤルド、レヴエルト、そして新型テメラリオなど、現代のすべてのランボルギーニはこの施設で生み出されています。ここは単なるデザインスタジオではなく、「四つのリング」ならぬ“闘牛の魂”を視覚化する創造の工房です。

デザインディレクターのミッシャ・ボルカート氏は「ランボルギーニにとってデザインはアイデンティティそのもの。外部スタジオに頼るのではなく、自社のDNAと対話しながら創造することが不可欠」と語ります。25名の国際色豊かなチームは、イタリア、ドイツ、ポルトガル、アメリカ、日本、中国など多様な出身を持ち、外装・内装デザイナー、クレイモデラー、3Dモデラー、カラー&トリムスペシャリストなど、あらゆる分野の専門家が集結。各メンバーがサッカーチームのように異なる役割を担いながら、ひとつの作品を創り上げています。

ランボルギーニのデザイン哲学を支える三本柱は「好奇心・認識性・驚き」。どの角度から見ても“ランボルギーニ”とわかるシルエットを守りつつ、Y字ライトや六角形モチーフといった象徴的要素を進化させています。同時に、毎モデルが独自の個性を持ち、予想を超えるデザインであることが求められます。レヴエルト、テメラリオ、フェノメノなど、それぞれが異なる“言語”でランボルギーニの魂を語るのです。

ボルカート氏はさらに、未来の発想を育む「クレイジー・コーナー」と呼ばれる小チームを設立。ここでは20年先のランボルギーニを自由に構想し、AIも活用してデザイン生成やビジュアル化を加速させています。ただし最終判断は常に人間の感性に委ねるという哲学を貫いています。

その集大成として発表されたのが、最新コンセプト「マニフェスト(Manifesto)」です。四輪の彫刻とも呼ばれるこのモデルは、ランボルギーニのデザイン言語を“純粋さと存在感”に昇華した作品。Y字ライトや六角形の造形を再定義し、視覚的アイコンを次世代へと進化させています。2017年の「テルツォ・ミッレニオ」が後のレヴエルトやテメラリオを生み出したように、マニフェストは今後のモデル群の基準となる存在です。

ボルカート氏は「チェントロ・スティーレの本質は“創造の喜び”だ。毎朝、階段を駆け上がるたびに未来のランボルギーニの姿が見えてくる」と語ります。
チェントロ・スティーレは、文化と技術が交わる実験室であり、夢を形にするアトリエ。伝統と革新を織り交ぜながら、ランボルギーニの未来を創造し続けています。

【ひとこと解説】
「マニフェスト(Manifesto)」は、ランボルギーニが2025年に発表した最新コンセプトモデルで、同ブランドの未来のデザイン言語を象徴する“四輪の彫刻”ともいえる作品です。Y字型ライトや六角形モチーフなど伝統的要素を再解釈し、純粋さと力強さを融合。エンジンや技術を語るのではなく、感性・造形・存在感そのものを追求したデザイン哲学の具現化です。今後登場する量産モデルの造形的指針となる“次世代ランボルギーニの宣言”と位置づけられています。

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