- 2027年開業予定の「ポルシェ・エクスペリエンスセンター・シンガポール(PEC)」最終デザインを公開
- 伝説のサポート車両「レンディーンスト(Renndienst)」を現代に再現し、F1週に島内ツアーを実施
- 世界初の“ドライブスルー型トラック体験”など、革新とモータースポーツ精神を融合
ポルシェは2025年10月6日、F1シンガポールグランプリの開催週に合わせ、同国に建設予定の「ポルシェ・エクスペリエンスセンター・シンガポール(PEC Singapore)」の最終コンセプトデザインを発表しました。ブランドのモータースポーツDNAをテーマにした「Raceborn」キャンペーンの一環として実施され、ポルシェの伝説的なレースサポート車「レンディーンスト(Renndienst)」も現代版として復活。シンガポールの街を巡り、特別冊子『Raceborn』を配布しました。
この「レンディーンスト」は、かつてポルシェのレーシングチームを支えたVW T1「コンビ」バンがモデル。1950年代~60年代、ル・マン24時間耐久レースやターガ・フローリオなどの舞台で、ポルシェのマシンに工具やスペアパーツを届ける“走るピット”として活躍しました。今回の復活版はクラシックな赤×白のレーシングカラーを再現し、シンガポール中心部のオーチャードロードやグオコ・ミッドタウン、デンプシーヒルなどを巡回。訪問者にポルシェのモータースポーツ遺産を伝えました。
配布された『Raceborn』誌には、1951年のル・マンで356 SL “Super Leicht”が初優勝を飾った歴史から、最新のポルシェモデルが受け継ぐレース技術までが紹介されています。アジア太平洋地域のレーサーたちのストーリーや、象徴的なレースリバリーの解説も掲載され、シンガポールF1開催週の話題を独占しました。
同誌の目玉として掲載されたのが、2027年開業予定の「PEC Singapore」の最終レンダリングです。世界初となる“ドライブスルー型トラック体験”を導入し、建物内部を駆け抜けてそのままコースのメインストレートへ加速できる革新的な設計が明らかになりました。さらに、イベントや「Cars & Coffee」などの集会を開催できるコミュニティプラザも併設し、車文化を体験・共有できる拠点となります。

コース設計も徹底されており、正確なライン取りが要求されるダブルS字コーナー、緊急回避操作を学べるダイナミックハンドリングエリア、低摩擦路面でドリフト挙動を体感できるスリップトラック、そして最大1.4Gの横Gを記録するバンクコーナーを完備。プロドライバーから初心者まで、本格的なドライビングスキルを磨ける内容となっています。

ポルシェ・アジアパシフィックのエクスペリエンス部門シニアマネージャー、マルク・ベイル氏は「PEC Singaporeはこの地域におけるポルシェの新たな節目。革新と情熱の象徴になる」とコメント。マーケティングディレクターのヤニック・オット氏も「F1ナイトレースで世界が注目するシンガポールに、モータースポーツとコミュニティが融合する新しい拠点を創り上げる」と述べています。
1951年のル・マン初勝利から74年、ポルシェは3万以上のレース勝利を重ねてきました。今回のPEC Singaporeとレンディーンスト復活は、ブランドの「レースで培った技術を日常に活かす」という哲学を象徴するプロジェクト。モータースポーツの魂を次世代へつなぐ新たな“走る体験空間”として、2027年の開業が待たれます。
【ひとこと解説】
ポルシェ・エクスペリエンスセンター(PEC)は、世界各地でポルシェの走行性能を体感できるブランド体験施設です。現在、ドイツ(ライプツィヒ、ホッケンハイム)、フランス(ル・マン)、イタリア(フランチャコルタ)、アメリカ(アトランタ、ロサンゼルス)、イギリス(シルバーストン)、中国(上海)、日本(東京)などに展開。最新のドライビングコースやシミュレーターを備え、プロ講師による走行体験を通じて、ポルシェのモータースポーツDNAを五感で味わえる施設です。
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