- Kia初の専用PBV「PV5」登場、最大16種類のモジュール構成で幅広い用途に対応
- 航続距離最大416km・30分急速充電対応、乗用・商用両立の実用EV
- 2030年までにPBV25万台販売を目指し、「PV7」「PV9」へ展開予定
Kiaは2025年10月6日、ソウルで新型「PV5」を世界初公開しました。これは、同社の新戦略「Platform Beyond Vehicle(PBV)」の第1弾として登場する次世代モビリティで、ビジネスユースから個人利用まで、多様なニーズに応える革新的な電動車です。韓国で先行発売され、欧州を経て2026年にはグローバル展開が予定されています。
「PV5」は、Hyundai Motor Groupの最新EV専用プラットフォーム「E-GMP.S」を採用。構造の共通化を図る「統合モジュラーアーキテクチャ(IMA)」により、バッテリーやモーター、サスペンションなど主要コンポーネントを標準化しています。これにより開発効率を大幅に高めながら、多様な車種への展開が可能になりました。安全面では、マルチスケルトン構造と超高張力鋼を用いた堅牢なボディにより、バッテリーを衝撃から保護します。
最大の特徴は、Kiaが新たに開発した「フレキシブルボディシステム」です。キャビン構造を共通化し、リアモジュールやルーフ、クォーターガラスなどを組み替えることで、最大16種類のボディバリエーションを展開可能。パッセンジャー、カーゴ、ハイルーフといった仕様に加え、特殊車両やキャンピング仕様などへの拡張も容易です。パッセンジャーモデルはクラス最低の床高399mmを実現し、子どもや高齢者、車いす利用者でもスムーズに乗降できる設計です。
パワートレインは用途に応じた3種類のバッテリーを設定。パッセンジャーモデルには51.5kWhまたは71.2kWhのニッケルコバルトマンガン(NCM)電池を搭載し、最高出力120kW、最大トルク250Nmを発揮します。航続距離は最大412km(WLTP基準)で、急速充電では10〜80%まで約30分。Cargoモデルでは43.3kWhのリン酸鉄リチウム(LFP)電池も選択可能で、最大416kmの走行が可能です。荷室容量は最大5.2m³を確保し、ユーロパレット2枚を収納できる実用性を備えます。
デザインはKiaのデザイン哲学「Opposites United(相反するものの融合)」を体現。滑らかな上部ボディと力強い下部構造のコントラストが特徴で、LEDヘッドランプをバンパー一体化することで損傷リスクを軽減。フロント・リアバンパーは3分割構造とし、修理・交換を容易にしています。広いフロントウインドウと低いベルトラインが視界性を高め、都市部での運転を快適にします。
インテリアは機能性と快適性を融合。7.5インチのデジタルメーターと12.9インチのナビゲーションディスプレイを備え、Android Automotive OSベースのPBV専用インフォテインメントシステムを搭載。フリート管理や車体制御、サードパーティアプリとの連携を可能にし、業務効率を大幅に向上させます。また、NFC・BLE・UWBに対応した「デジタルキー2.0」でスマートフォンからの解錠や始動も可能です。
走行性能面では、低重心の電池配置により安定性と操縦性を両立。サスペンションは乗員の快適性を重視して専用チューニングされ、特にPassengerモデルでは静粛性と上質な乗り心地を追求しています。加えて、交通状況やドライバー操作に応じて減速を自動調整する「スマート回生ブレーキ」を採用。運転負荷を軽減し、エネルギー効率も高めます。
安全装備も充実しており、高速道路運転支援(HDA)、スマートクルーズコントロール、ブラインドスポット衝突回避支援、駐車衝突回避支援など、多彩なADAS(先進運転支援システム)を標準装備。さらに、車内外で最大3.68kWの電力を供給するV2L(Vehicle-to-Load)機能を搭載し、キャンプや屋外作業、移動オフィスとしても活躍します。
また、Kiaは「PV5」をベースに車いす対応モデル(WAV)も開発。緩やかなスロープや固定システムを備え、介助者や家族にも使いやすい設計としました。これにより、すべての人に移動の自由を提供する「インクルーシブ・モビリティ」を実現しています。
今後、Kiaは2027年に上位モデル「PV7」、2029年に大型モデル「PV9」を投入予定。2030年までにPBVシリーズ累計25万台の販売を目指し、ソフトウェア主導のモビリティエコシステムを構築します。新型「PV5」は、その第一歩として、Kiaの未来型モビリティ戦略を体現する革新的なモデルです。
【ひとこと解説】
V2L(Vehicle-to-Load)機能は、車両のバッテリーに蓄えた電力を外部機器へ供給できるシステムです。電気自動車を“移動する電源”として活用でき、家庭用コンセントの代わりに電化製品や工具を使用したり、キャンプや災害時の非常用電源として利用可能です。Kia「PV5」では最大3.68kWの出力を備え、屋内外の両方で給電できるため、レジャーから業務用途まで幅広く対応します。
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