アルピーヌA390へ新世代技術を供給。アンペール・クレオン工場、100万基目の電動モーターを生産

  • ルノーグループの中核拠点クレオン工場が2015年以来、累計100万基の電動モーターを生産
  • 新型アルピーヌA390に後輪用「7DLツインモーター」を供給、0-100km/h加速3.9秒を実現
  • デジタル化・AI導入やパワーエレクトロニクス強化で競争力と品質を向上

フランス・ルノーグループの機械技術拠点であるアンペール・クレオン工場は、2015年以来の通算100万基目となる電動モーターの生産を達成しました。1958年の操業開始以来、累計1億台以上のエンジンとギアボックスを手掛けてきた同工場は、電動化時代においてもグループの中核を担い続けています。

今回の節目と同時に稼働を開始したのが、新型アルピーヌA390向けの後輪用「7DLツインモーター」です。既にA290にはフロント用「6AMモーター」を供給していますが、A390には新たに後輪を独立駆動する2基構成(2×115kW、計230kW)のツインモーターを搭載。高度なトルクベクタリング機能を持つ四輪駆動システムにより、俊敏性と安定性を両立し、0-100km/h加速はわずか3.9秒という卓越した性能を誇ります。

製造工程は徹底した精度管理の下で行われ、ねじ締め、組付け、刻印から電子制御のフラッシングに至るまでデジタル監視と熟練オペレーターの技量が融合。完成した全てのモーターは振動・音響・硬度を含む次世代テストベンチで検証され、品質の確保が徹底されています。

さらにクレオン工場は「インダストリー4.0」認証を受けたデジタル化を推進。AIを導入し、リアルタイムで工程パラメータを解析・補正する仕組みを整備。今後3年間で45のソリューションを導入し、産業メタバースを活用した生産性向上を計画しています。

また、電動モーターの性能と航続距離に直結するパワーエレクトロニクス分野を強化。電子部品組立の垂直統合や40%の小型化を進め、コスト削減と環境負荷低減を両立させる方針です。従業員教育は「Reknow University」を通じて強化し、次世代スキルの習得を後押しします。

多様な製造能力を活かし、既存設備の再利用や新しい鋳造技術も導入。エンジン・ギアボックスからEV用モーター、さらには新領域の部品生産まで、柔軟な拡張を目指しています。

アルピーヌA390は2025年末に登場予定の新型スポーツ・ファストバックで、5人乗りの快適性と伝統的なアルピーヌらしい俊敏な走りを融合。クレオン工場の精密技術とアルピーヌの設計哲学が結実したこのモデルは、フランス発の「電動スポーツ性能」を象徴する存在となりそうです。

【ひとこと解説】
7DLツインモーターは、アルピーヌA390の後輪を駆動する最新世代ユニットで、2基のモーター(各115kW、合計230kW)を独立制御する構造が特徴です。これにより左右輪へ最適なトルクを配分するトルクベクタリングが可能となり、コーナリング時の俊敏性と安定性を大幅に向上。0-100km/h加速3.9秒を実現し、電動化とスポーティ性能を融合させています。高精度な製造管理とAI監視システムにより、品質と信頼性も極めて高いモーターです。

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