ヒョンデ、ジョージア州で教育支援を拡大。STEM学習から歴史教育、住宅支援まで地域社会に貢献

  • H2GP財団と連携し「水素RCプログラム」を拡充、国際大会経験も還元
  • SAE財団との協働で800人以上の小学生にAWIM STEM教育を提供
  • 歴史教育支援や住宅建設支援を継続し、地域の暮らし全体を底上げ

2025年9月22日、ヒョンデはジョージア州ブライアン郡における教育・地域支援活動の大幅な拡大を発表しました。同社は「Hyundai Hope」という企業社会責任(CSR)プログラムを通じて、教育・健康・安全・持続可能性といった幅広い分野で地域社会を支える取り組みを展開しています。特にブライアン郡は、ヒョンデ初の電気自動車専用大量生産工場「Hyundai Motor Group Metaplant America(HMGMA)」が立地する地域であり、企業活動の拠点としての責任と地域還元への強い姿勢が示されています。

まず注目されるのは、H2GP財団との協力による「Hyundai Hydrogen RC Program」の拡大です。このプログラムは水素燃料電池を搭載したRCカーを題材に、学生が再生可能エネルギーと工学の基礎を実践的に学ぶものです。2年目となる2025年度は16チームが参加予定で、初年度から倍増する規模となりました。昨シーズンにはブライアン郡の2チームが世界大会「H2GPワールドファイナル」に出場し、国際的な経験を地元へ還元。生徒たちはより高度な技術と自信を持ち帰り、地域全体の学習意欲を高めています。ヒュンダイはこうした活動を通じて、次世代の技術者やイノベーターを育成することを狙いとしています。

さらに、SAE財団と提携して実施される「A World In Motion(AWIM)」プログラムは、地元の小学4年生を対象とするSTEM教育の実践型学習です。2024年度の導入に続き、2025年度もブライアン郡の800人以上の児童が参加予定で、授業では「スキマーチャレンジ」に取り組みます。紙製のファン推進ボートを製作しながら、空気抵抗や推進力、表面積といった科学の基本概念を体験的に学習。さらにHMGMAで活用される再生可能エネルギー技術や排出削減の仕組みとも結び付けられ、児童たちは科学的思考力だけでなく、将来のキャリア形成にもつながる知識を得ることができます。また、協働やチームワーク、批判的思考といった21世紀型スキルも育成できる点が高く評価されています。

教育分野以外でも、ヒョンデはジョージア歴史協会との協力を通じて地域の学びを支援しています。寄付金は学生が教科書を超えて州や国の歴史を体験的に学ぶ教育活動に使われ、教師向けリソースの充実にも充当されます。これにより、数十万人規模の生徒たちがより深い歴史理解を得ることが可能となり、未来を担う人材の育成に貢献しています。

また、2023年から連携を続けるコースタル・エンパイア・ハビタット・フォー・ヒューマニティとのパートナーシップでは、住宅の購入支援や地域の住環境改善に寄付が充てられています。この取り組みは「住まいの安定」を通じて地域の生活水準を高めることを目的としており、Hyundai Hopeの「健康で安全な暮らしを支える」という理念を体現するものです。

HMGMAのチーフ・アドミニストレイティブ・オフィサーであるブレント・スタッブス氏は「我々は地域の一員として、教育やコミュニティ支援に投資する責任を感じています」とコメント。CSR責任者ブランドン・ラミレス氏も「子どもたちに質の高い教育機会を提供することが、未来を切り開く第一歩」と述べ、電動車やクリーンエネルギー産業につながるキャリア意識を刺激する重要性を強調しました。

ヒョンデは2022年以来、ジョージア州において600万ドル以上を地域団体や病院へ寄付しており、その活動は教育や文化支援、住宅供給、そして地域全体の生活の質の向上に広がっています。今回の発表は、同社のグローバルビジョン「Progress for Humanity(人類の進歩)」を地域レベルで実践した象徴的な事例といえます。

【ひとこと解説】
STEM教育とは、科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、数学(Mathematics)の4分野を横断的に学ぶ教育手法です。単なる知識習得にとどまらず、探究的学習や実験、課題解決型プロジェクトを通じて、論理的思考力・問題解決力・創造性を育成します。産業界ではAIや再生可能エネルギーなど先端分野での人材需要が高まっており、STEM教育は次世代の技術者やイノベーターを育て、社会や産業の持続的発展を支える基盤とされています。

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