- Cd値0.21を実現した新型CLA、同クラス最高水準の空力性能
- 空気抵抗低減で航続距離最大375km延長、走行効率と快適性を向上
- 80年以上続く風洞開発と最新の空力測定技術で実現
自動車の効率を大きく左右するのが「空気抵抗(Cd値)」です。メルセデス・ベンツはこの重要性を早くから認識し、1937年のW125や1938年の540 K「ストリームライナー」、1984年のW124(Cd0.29)など、数々のエアロダイナミクスの名車を世に送り出してきました。2013年のCLAではCd0.22を実現し、2021年のEQSではCd0.20を達成。そして2022年に登場したVISION EQXXはCd0.17と、アメリカンフットボールよりも空気を切り裂く技術を誇ります。
空気抵抗を0.01低減するだけで長距離航続距離は約2.5%向上し、年間走行距離15,000kmでは約375kmの延長につながります。とりわけ電気自動車では効率と航続距離に直結するため、空力性能は極めて重要な要素です。
2025年に登場した新型CLAは、EQテクノロジーを搭載し、Cd値0.21という同クラス最高水準を実現しました。その秘密は細部にわたる徹底的な最適化にあります。例えば新開発の二色フルカバー付きアルミホイールは従来型に比べ最大15Cdポイント優れ、既存の空力ホイールに対しても最大2Cdポイントの改善を果たしています。また前後アクスル前のホイールスポイラーを全インチサイズで最適化し、タイヤがもたらす空気抵抗を最小限に抑制しました。
さらにラジエターグリルやヘッドライト周辺の隙間はシーリングされ、EQSやEQEで培ったスムーズなアンダーボディ構造を進化。ほぼ完全にフラットな床下には、スプリングアームやタイロッドまでカバーが施され、乱気流を抑えています。リアホイールカバーは車体に固定され、サスペンションの動きに影響されない設計。加えてCLAでは、トレーラーヒッチの有無に応じて2種類のディフューザーを装備し、いかなる仕様でも空力性能を妥協しない工夫がされています。
こうした開発の背景には、80年以上続く風洞技術への投資があります。1943年には世界初の大型自動車風洞を稼働させ、2013年にはシンデルフィンゲン開発センターに最新のエアロアコースティック風洞を導入。空力効率だけでなく静粛性やオープントップ時の快適性に至るまで、日常的なドライビング体験に直接寄与する成果を積み重ねてきました。
メルセデス・ベンツは「効率と快適性を両立する空力性能」を次世代モビリティの核と位置付けています。新型CLAに凝縮された最新技術は、単なる数値の向上にとどまらず、より長く快適で安全な走行体験をユーザーにもたらすものとなっています。
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