- フランス大統領専用車「PRESIDENTIAL DS N°8」は世界初の100%電動公用車で航続距離750kmを誇る
- 歴史的名車、ド・ゴール将軍が使用した1965年製DS 21 Pallasも展示
- フランス工芸の粋を結集した特別仕様で、ストロー細工や特注インテリアを初採用
9月20日と21日に開催される第42回「欧州文化遺産の日」では、エリゼ宮殿の儀式用中庭において、DSオートモビルの歴史的かつ象徴的な2台のモデルが特別展示されます。フランス大統領専用に設計された「PRESIDENTIAL DS N°8」と、シャルル・ド・ゴール将軍が実際に使用した「DS 21 Pallas」です。事前登録した約1万人が、宮殿内部の各サロンや舞踏室、冬庭、歴代大統領の執務室などを巡り、この特別な展示を体験できます。
「PRESIDENTIAL DS N°8」は、1945年5月8日の終戦記念日から80周年を迎えるにあたり製作された唯一無二のモデルです。フランス共和国大統領が世界で初めて導入する100%電動公用車で、最大750kmの航続距離を実現します。車体色はエリゼ宮専用のサファイアブルーで、フロントグリル「DS LUMINASCREEN」は青・白・赤の三色に光り輝きます。さらに、専用の旗立てやトリコロールバッジ、パレード用の立ち上がり用ハンドルや短縮ベンチシートなど、独自の装備が施されています。
インテリアにはフランス工芸の粋が結集されており、リソン・ド・コーヌ工房によるストローマルケトリーがダッシュボードやドアパネルに採用されました。シートはナッパレザーとブルーのアルカンターラ®を組み合わせ、パリのアトリエ・ロニョンによる新しいプリーツ加工と「パール」ステッチが加えられています。オーディオはフランスのFOCAL社製で、電動パワートレインはフランス国内で生産。バッテリーは北フランスのACCギガファクトリー製、モーターはロレーヌ地方トレメリーのEmotors製と、フランス技術を象徴する一台です。
一方の「DS 21 Pallas」は、1965年9月29日に工場を出荷し、10月2日からエリゼ宮殿で使用開始された車両です。ド・ゴール将軍が1965年から1967年にかけて公務で使用し、エリゼ宮殿とコロンベ・レ・ドゥ・ゼグリーズの邸宅間の移動に使われました。特徴的な装備として、後部座席用サンバイザー、バンパー内に隠された旗立て、計器盤の円形エンブレムホルダー、専用書類入れが挙げられます。1967年に売却された後、2023年10月のオークションで59,040ユーロで落札されました。今年70周年を迎えるDSブランドにとっても、歴史的な存在です。
今回の展示は、フランス大統領府とDSオートモビルの長年の結びつきを示すものであり、過去から未来へとつながるフランス自動車文化の象徴として、多くの来場者の注目を集めることでしょう。
【ひとこと解説】
DS 21 Pallasは、1965年に登場したシトロエンDSシリーズの高級仕様で、2.1リッター直列4気筒OHVエンジンを搭載し、最高出力は約109馬力を発揮しました。最高速度は約175km/hに達し、当時としては高性能なモデルです。油圧サスペンションによる快適な乗り心地と、パワーステアリングやディスクブレーキなどの先進装備を備え、上質な内装と静粛性で公用車にも採用されました。ド・ゴール将軍も公務で愛用した歴史的名車です。
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