ロールス・ロイス拡張工事現場で判明したローマ時代のリサイクル技術

・ローマ時代の再利用建材による井戸構造の発見
・28本の木材のうち8本に再利用の痕跡確認
・約6000年に及ぶ人類活動の歴史を裏付ける遺構

ロールス・ロイス・モーター・カーズが英国グッドウッドの本拠地に建設中の新拡張施設において、ローマ時代のリサイクル技術を示す貴重な遺構が発見されました。今回の発見は、6か月間にわたる考古学調査の最終段階で確認されたもので、オックスフォード考古学の専門家チームによって実施されています。

出土したのはローマ時代の井戸の遺構で、高さは7層構造と推定されています。この井戸は合計28本の木材によって構築されており、そのうち8本には再利用の痕跡が確認されました。具体的には、ほぞ穴やほぞ、面取り加工といった木工の痕跡が残されており、これらの木材は元々、建物の土台梁や柱として使用されていた可能性が高いとされています。その後、形状を加工し直し、井戸の内壁材として再利用されたことが明らかになりました。

同様の木材再利用の事例は、ヨークやカーライル、ロンドンといったローマ時代の主要都市でも確認されていますが、今回の発見は都市部以外でも再利用が一般的であったことを示す重要な証拠となります。井戸の木材は地下水により常時水没した状態で保存されており、地表まで補強材が延びていたと考えられています。

現在、これらの木材は年輪年代測定による解析が進められており、伐採された年代の特定が試みられています。さらに、使用された工具の種類や加工技術の詳細、さらには元となった樹木の形状復元なども期待されており、当時の森林管理や資源利用の実態解明につながる可能性があります。

この地域は、紀元1世紀中頃にローマ人が築いたノウィオマグス・レギノルムとして知られ、5世紀初頭までローマ支配下にありました。また、今回の調査では新石器時代(紀元前4000年〜2200年)の遺物である工具や土器も出土しており、この地が約6000年にわたり人類活動の拠点であったことが確認されています。

さらに、金属加工が行われていた可能性も示唆されており、もし確認されれば、この地における産業活動の長い歴史を裏付けるものとなります。出土品は現在も分析および記録作業が進められており、最終的にはチチェスターのノビウム博物館に寄贈される予定です。

ロールス・ロイスは今回の調査結果を地域社会と共有するため、説明会で展示を実施しており、地域住民に新たな歴史的知見を提供しています。

【ひとこと解説】
ノウィオマグス・レギノルム
は、現在の英国チチェスター周辺に存在したローマ時代の都市で、紀元1世紀中頃にローマ人によって築かれました。「ノウィオマグス」はラテン語で「新しい市場」、「レギノルム」はローマと同盟関係にあったケルト系部族レグニ族を指します。この都市はローマ支配下で地域の行政・商業の中心として発展し、5世紀初頭のローマ撤退まで重要な拠点でした。現在でも遺構や出土品から当時の都市生活や文化が明らかになっています。

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